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心霊

かがちさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

引越し先は新築の家なのに…
短編 2021/09/03 11:54 1,031view

それは私がまだ小学生の頃の話です。
丁度それまで住んでいた所から引っ越して間もない頃。
ちなみに引っ越し先の家は新築で、自分の親が建築業をやっていたこともあり、建てている時から掃除を手伝ったり壁紙を選んだりして引っ越すのがとても楽しみでした。
ただ一つ、隣と言ってもいいくらいすぐ近くにお墓があった事を除いては。
両親は新しいお墓ではないし、家族の人もきちんと手入れをしているからと全く気にしていませんでした。

それからしばらく経ったころ、小学四年生くらいの頃だったと思います。
暑い盛りだったので多分夏休み。両親が出かけて一人で留守番をしていた時です。
当時、自分の部屋は2階で南向きにサッシ戸がありそのままベランダに出られるようになっていました。

私は部屋の縁に腰掛けてベランダに足を投げ出すようにしてリコーダーを吹いていました。もちろん家には誰もいない、自分一人だけでした。
すると突然、自分のすぐ後ろで「ふふっ」っと子供の笑い声が聞こえたのです。
小学生になるかならないか位の小さな子供の声でした。
暑いといってもクーラーをつけるでもなく、家中の窓を開けたままでしたが、近所にそんな小さい子供はいないし、もちろん誰かが2階の部屋に来れば、足音なり階段を昇る音位は気が付きます。
でも、何の気配も無く突然聞こえた笑い声。その頃の私は振り返る事さえ出来ずに、口にリコーダーをあてたまま固まっていました。

また別の日には、こんな事もありました。
ある夜、ふと目が覚めた時の事です。
部屋の前の廊下を誰かが通った気がしました。

部屋の戸は引き戸になっていてすりガラスがはまっています。誰かが通れば影位は見えます。
でも、影も見えないのに確かに誰かが通った気配がしました。
当然、確かめに行く勇気も無く、布団の中でじーっと気配を覗っていました。
すると何故か見えるはずなどない隣の部屋の様子がはっきりと、頭の中にうかんできました。
誰かは分からない真っ黒い人物が部屋の真ん中、照明の下で正座をしていました。もちろん明かりはついていないので真っ暗です。
そして2〜3度、「ふーーー」と大きなため息をついて、しばらくそのまま座っていました。

どれくらい時間が経ったかわかりませんが、気付いた時には気配も無くなっていました。
翌朝、家族の誰に聞いてもそんな夜中に2階に上がった者はいませんでした。
他にも金縛りにあうことはしょっちゅうで、大人になった今でもあの部屋で一人で過ごす事には何か抵抗を感じます。

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