オナジユメ

ここからは夢だったのか現実だったのかわかっていません。
私は現実だと思っています。

男の腕を掴んだあと、暗転して目が覚めました。
私は包丁を持った彼女の腕をがっしりと掴んでいました。

彼女は虚ろな表情でぶつぶつとお経のようなものを唱え続けていました。

彼女はハッと目を覚まし、きょとんとした表情で私を見つめました。

「おはよう」

彼女のものではない低い声で、ニタリと笑って言いました。
その瞬間全身の打撲が思い出したかのように痛み出し、あまりの苦しさにそのまま気を失いました。

目が覚めた今日、彼女は髪の毛一本残さず荷物とともに消え去っていました。
心配で友人に電話しても、親に電話しても、「彼女いなかったやろ」の一点張り。

先ほど彼女の実家に行ってきましたが、誰も住んでいないであろう廃墟があるだけでした。

円満だったはずの彼女にタコ殴りにされ、刺殺されかけ、3年間付き合ったはずのその彼女は存在していなかった…？
私の頭の病気かなと疑いましたが、写真フォルダには彼女の写真があるので何が何だかわかりません。

最初は「同じ男に暴行を受ける夢を見る」という内容でこの話を整理していたのですが、あまりのラストに私自身も整理しきれていませんし、なにより昨日の出来事なのでまたこれから何かが分かってくるかもしれません。

もし彼女が実在していたとしても、実在していなかったとしても、どっちにしても恐ろしい出来事でした。
彼女がいなくなった悲しみはもちろん、暴力を振るわれたショック、恐怖などがごちゃごちゃになっています。
体の痛みが引くのを待って、何か手がかりを見つけていきたいですが、正直怖いです。