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ヒトコワ

やうくいさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ゴミ処理
短編 2021/03/19 19:29 3,393view
私がごみ処理場で働いていた頃の話です。
家庭から出る大きなゴミの回収をする部署に配属されていたのですが、面白い経験もいろいろとさせてもらい、私としては満足な日々を過ごしていました。

持ち込まれるゴミで一番多かったのは雑草や木です。他には布団やタンス、燃やして問題ないものは全て引き取っていました。
時々、野生動物の死骸が運び込まれる事もありました。恐らく役所で働いているのであろう、物腰の丁寧なおじさんが来ては、鹿や鳥、犬や猫の死骸をごみ処理用のバッカン(大きな金属製の箱のことです)に落としていました。
野生動物の死骸を弔うような物好きはなかなかいないでしょうし、放置しているのは不衛生なので仕方がないことなのでしょう。
しかしながら、ゴミと一緒に死骸を焼くのはどうなんだろうと、それを見るたびにモヤモヤしたものです。

そんなある日、スーツを着た男たちが大きな車でやって来ました。
こんな場所にスーツで来るのは場違いですし、なんとなく従業員はザワつきました。
すると、男の一人がやってきて言いました。
「所長さんと会わせてくれます?」
大丈夫なのかなと思いましたが、仕方なく所長に連絡し、所長室に通しました。
男たちが所長室にぞろぞろと入っていき、私達はビクビクしながら終わるのを待ちました。

10分ほど経ち、男たちが出てきました。
男の一人が私に近づいてきます。
「所長さんには許可もらったんで。ゴミを捨てたいので案内してもらえます?」
男は口では笑みを浮かべていましたが、目は全く笑っていませんでした。
タバコと香水の刺激臭が鼻をつきます。
この人達には逆らったらだめだろうな。
そう思った私は案内役を引き受けました。

バッカンに到着すると、男たちは黒い袋に入れられた、ちょうど人くらいの大きさのものを二人がかりで投げ込み始めました。
袋は3つだったらしく、全て終わると男がおもむろに一万円札を数枚取り出して、私に押し付けてきました。
「案内ありがとう。得したね。」
男は私の肩をポンポンと叩くと、立ち去っていきました。
終始唖然としていた私は我に帰り、所長室に行きました。先程の事を報告して、警察に通報しないといけないと思ったからです。

所長は普段通り本を読んで寛いでいました。
「あの、所長。」
「どうしたんだ?」
「先程の男たちの件ですが…」
「うん、その件なら大丈夫だから。」
何が大丈夫なんだろうか。
「あの人達、たぶん人を投げ込んでますよ。」
「うん、大丈夫だよ。」
「いや、何が大丈夫なんですか?」
「おい!!」
いきなり所長が怒鳴りました。
何事にもやる気の無い人で、常にぼーっとしている所長が怒鳴るのは初めて見ました。
「俺が大丈夫だって言ってんだろうが!」
「すみませんでした…」
私は報告を諦め、所長室を出ました。
処理場の奥では、先程回収したゴミをまとめて、焼却場に運ぶ準備がされていました。
恐らく今から警察に通報しても、何も見つからないだろう。
私はあれを見なかった事にしました。
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関連タグ: #事故物件#犬#猫
コメント(2)
  • 所長の態度から察するにいきなり脅されて頼まれたとかではなくがっつり繋がってたんやね

    2021/05/03/15:39
  • バッカンってトラックの荷台みたいなゴミ箱かな?
    焼却炉までどうやって運ぶんだろう?

    2021/06/04/19:14

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