【微睡みの泉】というサイト

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午前最後の講義が終わり、広い講義室後方の席にはSとN美だけが並び座っている。

N美はSと同じ文学部の学生で、肩までの髪を薄いピンクに染めたオカルト好きな女子だ。

二人は午前中ニュースであった飛び降りの件を話していた。

「過激な宗教団体の若い信徒らによる集団飛び降りとかじゃないの？」
N美が言うとSが真剣な表情で首を振りながら返す。

「いやたった今入ったお昼のネットニュースによると、大阪で飛び降りした若い人もその前も普通の学生や社会人だったみたいで、特に何か政治的宗教的な活動はしていなかったらしい。
そして東京の方は全員自衛隊入隊直後の若い隊員だったみたいなんだ」

「じゃあ、いったい何だったんだろうね？単なる偶然？」

N美の質問にSは答えることなく、ただ腕組みしているだけだった。

するといきなりN美が「ねえ、ところで目の下の隈がすごいんだけど、どうしたの？」と言い、その顔をSの顔に急接近させる。

Sはどきまぎした様子でN美から離れると、
「い、いや最近布団の中でYouTubeばかり見ててさ、よく眠れてないんだよ」と言って顔を曇らせた。

「だったら、携帯を布団に持ち込まないようにしたらいいんじゃない？」
と極論を言うN美に対して、Sは「もちろんそうするのが良いということは分かっているんだよ、分かってはいるんだけどつい、、、」と言うとそのまま俯いた。

しばらく思案するかのように天井をみていたN美だが、やがて再びSの方に向き直ると口を開く。

「あのさあ理学部の子なんだけどM代っているのよ。
彼女、最近実験ばかり続いてストレスでしばらく同じように不眠で悩んでいたんだけど、ある動画サイトのおかげで快眠できるようになったとか言ってて、今そのサイトぐんぐん登録者数も増やしてるんだって」