奇々怪々 お知らせ

妖怪・風習・伝奇

太山みせるさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

赤い水
短編 2023/12/21 13:53 2,707view
0

戦争で、空からたくさんの爆弾が降ってきた
火がついたまま降ってきたので、まるで火の雨のようだった
それが木造の密集した家に当たって、一面、真っ赤な火の海になった
あまりに多くの人が死んだため、対応に追いつかず、一時的に遺体は広い小学校の校庭に並べられた

終戦から20年ほど経った頃
かつて死体が並べられた小学校で、放課後、数人の子供たちが水を飲もうとした
ところが水道の蛇口を捻ると、出てきたのは赤い水だった
皆、驚いて狼狽える中、一人の少女は水を飲んでしまう
他の子たちは驚いた
真っ赤な水だ!きっと七不思議の『赤い水』だよ!こんなの飲んじゃダメだ!
慌てて飲むのを止めさせようとする
けれど少女は狂ったように水を飲み続けた
赤い水は勢いよく跳ね返り、少女の白いブラウスを真っ赤に染める
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ

痛くないのかと思うほど、強く喉を鳴らして飲み続ける
足元まで赤い水は垂れて、血が滴っているようにも見えた
飲む勢いは止まらない
途方に暮れた子供たちは教員を呼びに行く

再び戻った時、少女は真っ赤な水溜りの中で倒れていた
病院に搬送されるも、意識は戻らぬまま、3日後に命を落とした

死因は、水に含まれた毒素によるものだとされた
水は赤くなっていたのに、何故に飲んだのか?

この学校には、『赤い水』という都市伝説がある
その内容は、戦争中亡くなった方の流した血が、時々、水道から出てくるというものだ
生徒たちは噂し合った
少女は、戦争で亡くなった亡霊たちに殺されたのだと

少女は暗闇の中にいた
真っ暗なのに、何故かどこにもぶつからず、歩くことができる

地面以外、何もないからだ
誰もいない…ここがどこかも分からない…
どうしたら良いのか分からないから、とにかく誰かに会って、相談しようと考えた
かなり歩いた時に、遠方にぼうっとした光を見つけた
何だろう?
近づくに連れて、それが何だか分かった
宙に浮いている、人間の後頭部だった
(頭だけの幽霊だ!)
少女は怖かったが、幽霊でも誰かに会えたのが嬉しかった
「あの…」
話しかけると、頭部はぐるりとこちらに向いた
「私、帰りたいのですが、どうしたら良いですか?」
首だけの幽霊に尋ねてみた
幽霊は血走った目で少女を睨むと、
「俺はたくさんの人を殺した。主に貧乏な若い女たちだ。親が大金持ちだから金の力で黙らせてきたが、ある日、殺した奴らの親族に捕まり俺は殺された。あいつら、寄ってたかって俺に暴行を加え、首を切り落としたんだ。俺は地獄に落ちた」

1/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。