夢と現実の狭間の鎧武者

今日は天気が良い、洗濯物を干し終えると私は仕事をする為パソコンを開いた。
ここでふと昨日の心霊写真の事が気になった。
画像を開いてみる。改めて見てみても、やはり大量の浮遊霊が写っている。

「南無阿弥陀仏…。」心の中で静かに唱えた。
片手にコーヒーカップを携えながらゆる～く仕事を始める。
天気は良いと言えど気温は低い。「寒っ寒っ」どうでもいい事をつぶやきながら作業をしていた。

そこそこ集中したお陰で時刻はいつの間にかお昼を回っていた。
「お、もうこんな時間か。お昼休憩にしよう」そう思って席を立った。
今日は寒いし、うどんでも食べるか。お湯を沸かし簡単なうどんを作りパソコンの前に戻って来た。

「！！！」私は一瞬固まった。

不思議な事にパソコンの画面がさっきまで作業をしていたExcelの画面ではなく、あの心霊写真の画面に変わっていたのだ！
なんだろう、これは。心霊写真が何か訴えかけているのか？？

私は画面に注目した。次の瞬間、すぐに写真の変化に気づいた。
画面の端の方に写る浮遊霊が数人程、かすかに笑っている様な安らかな表情に変化しているではないか！

これは一体……！！なにが起こっているのだ？
まさかさっきの適当な「南無阿弥陀仏」が効いたとか？
真相は分からないが、兎に角一部の浮遊霊が安らかになった事には違いなかった。

その後、これと言った変化はないまま時間は過ぎ気付けば子供たちが学校から帰宅した。
「ただいまー！」「お帰りー」先に娘が帰って来た。
「おやつ何？」流石は我が娘。おやつについては他の追随を許さない。

そんな娘のおやつコールを一旦スルーして「見てよ、これ！」と昨日とはちょっと変化した心霊写真を娘に見せた。
「おー！…おやつ食べようか。」娘の切り替は早かった。

そしてこの日も夜が来た。
私は再び夢を見る。昨日と全く同じ夢だった。

月明りの樹林、鎧武者が小高い所からこちらを見下ろしている。
「来る！！」気が付いた時には切られている。
ただ、少し違ったのは気のせいか鎧武者の動きが前回よりも遅い様な気がした。

気が付くと朝を迎えていた。
この日も例の写真が気になっていた私は、朝一でパソコンを開いた。

やっぱりだ！まさかとは思っていたが、写っている浮遊霊の笑っている顔の比率が増えている！
この心霊写真は成仏させられるのではないか？私は今日も素人読みな『南無阿弥陀仏』を唱えることにした。