通夜での出来事

知人の通夜に出席した話です。

亡くなった知人と仲が良かったこともあり、その日は葬儀屋さんが用意してくれた部屋で泊りで過ごすことになりました。

部屋に通された時、暗くて埃っぽい感じがするなと思っていたんですが、あまり気にしないように過ごしました。

それから夕食をすませ、ご家族の方や知り合いと話をしていると、タタタタタと誰かが走り回るような音が部屋の壁からするのです。音は部屋をぐるり回るような感じでした。

あまりにはっきりした音に、こういう場所だから不思議なこともあるんだねとみんな驚いていました。

そして夜も遅くなり、みんな眠りに付きましたが、私はなかなか眠れずにいました。

何か飲もうとテーブルにあった飲み物を探しているときです。ふと、背後から視線を感じました。もちろんみんな眠っていて誰も起きていません。けれど誰かの気配がするのです。

私は直接見ないように、目線を下げて気配のするほうに向きを変えました。するとそこには、うっすらとした足がありました。眠っている人の布団の上に誰かが立っている。こちらに向いてじっと立っているんです。

びっくりした私はもう一度背を向け、出来るだけ意識しないように別のことをしてその場をやり過ごしました。そうしたらいつのまにかその気配は消えていました。その後何事もなく、翌日無事に葬儀も終わりました。

通夜や葬式には何度か出席していますが、ああいったことは初めての経験でした。