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不思議体験

ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

休みだったのに・・・
短編 2023/02/28 17:40 774view

中学生のときに同じクラスに好きな子がいました。

そそっかしい私にやさしく声をかけてくれる鈴木くんという男子です。

その日は一日、大雨でした。

外では強い雨が降っており、体育の授業もそのせいで、急遽体育館になるくらい外は土砂降りでした。

その日私は確か国語の授業を受けていたと思います。

いつものように黒板の字をノートに写していたら、手が当たって消しゴムを落としてしまったのです。

コロコロ転がって後ろの男子生徒の机の下に落ちました。

私が好きな人の席でした。

私が内心慌てていたら、気づいたその人が消しゴムを拾ってくれたのです。

後ろの席だった鈴木くんは私の肩をとんとんと叩いて、「落としたよ」と消しゴムを拾って渡してくれました。

後ろを振り向いてどぎまぎしながら受け取ると、くすっと笑われてしまい恥ずかしかったです。

休み時間が来て、さっきのことを親友に話しました。

すごいテンションだった気がします。

親友は私が鈴木くんを好きなことを唯一知っている子でした。

でもその子は私の話を聞いて、すごく妙な顔になりました。

どうしたのかと聞くと、「今日鈴木くん休みなんだけど」と言われたのです。

そういわれたときの私の顔はすごくとんちきだったと思います。

次の授業から後ろの席を見たら、誰もいませんでした。

でもさっきまで確かに後ろの席には人がいたのです。

私は緊張するので、なるべく後ろの好きな人はじっとは見れませんでしたが、チラ見はしていて、ずっとその席に鈴木くんはいたのは確認していました。

なのに急に休みだと言われて、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたと思います。

翌日に親友が直接鈴木くんに、「昨日一日休んでたよね?」とさりげなく聞いてくれたのですが、風邪で休みだったと本人が言っていました。

あの日、鈴木君は学校にいなかったのです。

でも、だとしたら私に消しゴムを拾ってくれたあの人は誰だったのでしょうか。

ばっちり、鈴木くんと同じ顔に同じ声をしていたあの人は私の見間違いなんてことはなかったと思うのです。

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関連タグ: #声#学校#雨
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