プライド高い男を返り討ちにした

それが数か月続いてとうとう優子さんは心が病んでしまった。
精神科へ行かなければならないほど追い詰められてしまったようだ。

和夫は友人から「お前の態度冷たすぎないか？」と注意されたことがあったようだが、和夫は「別に？」とそっけない態度を取ったという。

私はその話を聞いて寒気がしてしまった。
元カノである優子さんの精神を追い詰めただけじゃなくて精神科に行かなければならないほどの状況になってしまった。
反省どころか悪びれる様子すらない。
むしろ淡々とひとつの体験談のような感じで語ってきたのだ。

もしかしたら私も同じ目に遭わされる可能性は高いかもしれない・・・不安と恐怖に支配されつつもなったらなったでその時に対処法を考えるしかないと覚悟を決めた。

その話を聞いた次の日からそれは始まった。

予測していた通りになってしまった。

和夫が過去に優子さんに送った嫌味メールと似たような内容のメールを送り付けられる日々が続いた。

一体なぜこのような目に遭わなければならないのか、最初は毎日が憂鬱だった。
和夫にどんなメールを送っても嫌味な返事しか返ってこない。
私の送ったメールの揚げ足を取るような内容、甘いだの馬鹿にしているだの人を蔑むような内容ばかりだ。

しかし、私は優子さんとは違う。
一方的にやられてばかりでは負けを認めたようなものであり、相手の理不尽なメールの内容を認めたことになる。
それだけは避けたかったし、何とかトラブルを収束出来ないかと頭を捻るがいい考えが浮かばない。

もう、逃げるしかないのか・・・逃げる前に反論のひとつでもしたいところだが。

ただ、相手は心の冷たい人間、彼より弱そうな人を傷つけても何とも思わない氷のような悪魔のような男だ、下手に反撃をしたらどんな恐ろしい目に遭わされるか分からない。

そこで、オカルトに詳しい親戚のＡさんにメールで相談をしてみることにした・・・。

すぐにＡさんからお守りを渡すと返事が返ってきた。
数日後の休日にＡさんの家に行くと、Ａさんは赤と白の縞々模様のパワーストーンのブレスレットを渡してくれた。

サードオニキスと水晶で構成されていたブレスレットには浄化と保護のパワーがあるとのことだった。
主に生きている人間の念に強いと教わった。

もし、和夫から暴言吐かれて嫌だと感じたらブレスレットを握りしめて守られるようなイメージをするとよい・・・そうアドバイスも貰った私は次の日から和夫に対して少し強気な対応を取れるようになってきた。

和夫から嫌味メールが来た時には「あなたの考え方の方が変じゃないの？」としれっと反撃をすることが出来た。

「俺は仕事で忙しいのにあんたは呑気に遊んでいるんだろ？」みたいにキツイメールが届いた際も「そもそもその程度で怒るなんてどうかしてる」と返事をしたこともあった。

それから和夫の様子が徐々に変わっていった。
私に会うことを嫌がるようになったのだ。
会おうと言っても仕事や体調不良を理由に会おうとしない。