お地蔵さんの行列

子供の頃、毎年お盆休みを利用して家族で福島県にあるおばあちゃんの家に遊びに行っていたのですが、そこで不思議な体験をしました。

おばあちゃんの家には親戚一同が集まってくるので、子供もたくさん集まります。
夜になってテンションも上がってきた頃、皆で近くにある神社に肝試しに行こうということになりました。

そこの神社の隣には先祖が眠っているお墓があるので昼間によく行っていました。
いつの間にか墓地の入り口にあったお地蔵さん数体が撤去されていました。
ずっと昔からある墓地で、撤去前のお地蔵さんたちは頭が崩れていたり、倒れていたりしていたのを私は鮮明に覚えていました。

そこでみんなでビビりながらも懐中電灯を手に墓地の中を歩いていきました。
すると一人が怖くなって「やっぱやだ！俺は先に帰る！」と言い出し、走って帰っていきました。
するとみんなも走り出し、最後尾にいた私も怖くなり一緒に走り出しました。

そして墓地を抜けると私は何か視線を感じました。なんだろうと振り返りました。
すると墓地の入り口でお地蔵さんたちの行列がゆっくりと歩いていたのです。

うっすらと光りながら、頭のとれたお地蔵さんや、汚れて真っ黒になったお地蔵さん達が一列になって歩いていたのです。
私は怖くなって前を走っていた親戚を追い抜いて一目散に急いで帰りました。

家に戻り、私はおばあちゃんにそのことを話しました。
するとおばあちゃんは「ああやってお地蔵さん達は墓地を守っていてくれているんだよ」と話してくれました。

それからは私はその墓地を通るときにはお地蔵さん達に「どうかお守りくださいませ」と心の中で思うようになりました。
数十年経った今でもお墓参りに行くときはそう言っています。

私の体験した不思議な話です。