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不思議体験

環菜さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ペンションの住人
短編 2022/12/24 02:51 1,013view
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10年ほど前にあった不思議な体験です。

当時私は激務と人間関係に疲れていて、仕事を休んでふらっと一人で旅に出ることがありました。
その日は車で目的もないまま東京から下り方面へ。数時間走り、栃木県へ入りました。

運転で疲れていたのでコンビニで休憩をしました。
コンビニでコーヒーを買い、煙草を吸いながら辺りを歩いていると、少し離れたところにペンションがみえました。
何故か私は「今日はあそこに泊まろう」と思い、吸っていた煙草を消すと、そのまま車で向かいました。

ペンションに着くと優しいご夫婦が出迎えてくださり、空いているとのことで泊まらせてもらうことになりました。

白を基調とした清潔感のある二階建ての建物で私は二階に泊まることになりました。

夕食までに時間があったので一階にある温泉に入ることにしました。
脱衣所で着替えていると一人先約がいたようでしたが、中は広そうだったので私はかまわず入っていきました。

体を洗い温泉に浸かると、日頃のストレスも今日の運転疲れもすべて吹き飛んでいくようでした。
すると後ろから「たまにはゆっくりするのもいいじゃろぉ」とおばあちゃんの声がしました。

私は振り向きながらなんと答えたらいいか分からず「はい!そうですよね!」と返事をしました。するとおばあちゃんはお風呂の白い煙が舞う中、ゆっくりと脱衣所の方へ行ってしまいました。
私はその後おばあちゃんの言葉通りにゆっくりと温泉に浸かって、ペンションの夕食を堪能し、疲れを癒しました。

そして翌日、帰る時にペンションのご夫婦と会話をしました。
「ゆっくりできたでしょうか」と聞かれ、私は荷物をバッグにしまいながら「はい、温泉もよくてお食事も美味しくて癒されました」と返事をしました。

そしてペンションを出ようとすると、ご夫婦から「ありがとうございました。今日はお客様一人だったけど、いつもは意外と人気なのよ。ははは」と言われました。
私はハッとしましたが、おばあちゃんがいたことを言えずに「また来ます!」と言って帰りました。

きっとおばあちゃんは疲れた私に「たまにはこうやってゆっくりしなさい」と教えてくれたんだと思いました。
私はあれから疲れたら無理矢理にでも自分の時間を作って休むようになりました。おかげで楽しく生活ができるようになり、感謝をしています。

これが私の体験した不思議な話です。

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