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心霊

サクコウさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

黒髪の女性と兵隊
短編 2022/07/29 21:09 774view

これは20年近く前、私がまだ20代だった頃の話。

その日も私は、パン屋の仕事から疲れて帰宅。
お風呂に入り、夜11時頃に2階の自分の部屋へと上がった。TVを観ていたが、今一つ好きな番組もやっておらず(そろそろ寝るかな)と思い布団に入る。なんだか嫌な暑さがあり、タオルケットのみを被る。

そして1時間ほどたった頃、なんだか体がダルいなと思いながら、目を開けて周りを確認しようとするが、体が動かない…。すると、階段から誰かが上がって来る気配がする…(怖い!)なんとなくそう感じて、体を起こして逃げようと思ったが、体が動かない!!その間にも気配はどんどん近づいて来る。次は、母を呼ぼうと思い「助けて!」と声を上げようとするが、今度は声が出ない…。
そして、とうとうその気配は目の前まで来てしまった。(目を開けたら駄目だ!!)そう思いながら、怖いもの見たさで目を開ける。
目の前には、青白い顔をした気味の悪い女性が居た…。私の顔を覗き込み何か言いたげだ。(怖い逃げなきゃ!)そう思うが、やはり体が動かない…。
すると彼女は私を怨めしそうに睨み、手を伸ばしてきた(苦しい…)彼女は、私の首に手をまわし首をきつく締めてきた。もがくが、逃げることは出来ない!!
(死ぬのか?)そう思った瞬間…今度は、廊下に何人もの兵隊が現れた。どんどん2階に上がって来ては、奥の部屋の壁をすり抜け消えて行く…。もの悲しそうに、ただ前へ前へと歩を進めている。さわさわ…と吹いていた風が止むと、兵隊の姿は消えていた…。

(さっきの髪の長い女性は?)くるくると周りを見渡すが、誰もいない…。そして体は元通り動くようになり、部屋に朝日が差し込んでいた。

しかし、私の首筋には、はっきり彼女の手の温もりが残っていた…。

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