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呪い・祟り

グロリアさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

夜の石碑の前で
短編 2022/07/28 21:55 976view

私が中学生の時の話だ。

運動部の部活動に所属していた人ならわかると思うが、割と遅めになり、あたりは真っ暗になりやすい。

自転車でさらにそこから30分かかる家路は慣れなければ相当につらく、練習でへとへとになっているのならなおのこと、距離は変わらないが気持ちも盛り下がるものだ。

当時の私は怖い話が大の苦手であり、それでいて休み時間に怖い話を図書館で借りてしまう程度には興味があった。

夏のある夜、いつも通りゆっくりとした調子でペダルを踏みながら帰っているとトイレに行きたくなった。

もう何年も前の話である。まだ田舎道に街灯なんてなく、大通りから少し外れてしまえば田んぼのそれ。

虫の鳴き声は聞こえてきても、明かりなんて自身の自転車から発するものだけ、完全な夜道になってしまわないだけ夏の方がまだましだった。

そして公衆便所なんてものは当然なく、家に帰るまで我慢するしかない。

それもまた、動いていればもよおすもので我慢ができなくなってしまった。

そこらにするのはまずいと教えられていただけに中学生の頃の私はまだ分別がついており、よそ様の家に外したメットと共に「すみません」と声をかけに行った。

「トイレを借りられませんか」、私の言葉に年老いた爺様が事情を察してくれたようであっちにしてきていいと言ってくれた。

あっちと言われた場所に言ったが、やぶだ。そこらにしてくれていいということで、いいと言われたのならするしかあるまい。

しっかりと用事を終えたところで爺様が気を利かせたのか、外に面した部屋の電気をつけてくれた。

そして、私の目に飛び込んできたのは謎の石碑であった。

すーっと、血の気が引いた。

信じられないぐらいの冷や汗をかき、歯がかちかちとなってしまった。

その日から数日、私は体調が悪くなった。後日、親に黙ってあの家に挨拶に行き、なけなしの小遣いでかった大福を備えてからは調子もよくなった。

何より、一番怖かったのは、満面の笑みを浮かべた、爺様であった。

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