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心霊

駿さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ロフトの・・・
短編 2022/07/20 21:24 1,007view

以前勤めていた会社でのことです。

僕は会社が契約しているアパートに住んでいました。

ある時、「社員が部屋を壊したり汚したりいしていないかチェックしろ」と社長から指示が出ました。

そのため、1週間後に事務所の女性社員2人が僕の部屋を見に来ることになったのです。

部屋の片付けが苦手な僕の部屋は、ほとんどゴミ屋敷状態。とりあえずゴミを捨て、趣味で集めたアニメグッズは押し入れへ押し込んで、カップ麺など見られると文句を言われそうなものはロフトに投げ込んで当日を迎えました。

女性社員2人は僕の部屋を一通り見て回った後、ロフトに目をやりヒソヒソ話をしていました。

カップ麺の山が隠れきっていなかったことに気付き、「僕、自炊って全然やらないんで、カップ麺に頼り切って生きてるんですよね~。あははは。」と笑って誤魔化そうとしました。

流石に文句を言われるかと思いましたが、意外にも「ヘェ~。そうなんだ~。」と流されるだけでした。

15分くらいかかると言われていた部屋のチェックですが、5分程度で終了しました。

翌日会社へ行くと、部屋を見に来た2人からこんなことを言われたのです。

「あのアパートは独身寮みたいなものだから、彼女と同棲なんてダメだよ。」

何を言われているのか分かりませんでした。何故そんなことを言われたのだろうと不思議に思い、理由を聞いたらゾッとしました。

あの日、女性社員2人がロフトに視線を向けヒソヒソ話をしていたのはカップ麺の山を見たからではありませんでした。

彼女達が見たのは女性の姿だったのです。

その女性は普通にロフトにペタンと座り込んだ状態で顔も真正面を向きながら、目だけで彼女達を追っていたそうです。

女性2人は、彼氏の部屋に女が入ってきたから彼女が警戒して見ている、早く帰らせたくてこっちを睨んでいる、と思いそそくさと部屋のチェックを切り上げたとのことでした。

当時の僕に彼女はいません。まして部屋のチェックがある日にわざわざ友達を呼んだりもしません。カップ麺を隠そうとロフトに登ったときには誰もいませんでした。つまりそんな女性には一切心当たりがないのです。

その後、約1年その部屋に住み続けましたが、僕は一度もおかしな体験をしたことはありませんでした。

一体その女性は何だったのでしょうか?

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関連タグ: #山#押入れ#石
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