草むしりが引き起こしたのは

　2011年4月7日。宮城県某所。幸いにも津波の被害はなく、震災の被害から徐々に立ち上がり始めていたその日の夜、また大きな余震があった。深夜の揺れは怖かったが、どうにか翌日を迎えた私に母が言った。

｢私さ、昨日草むしりしたんだよね。しかもね、3月11日のお昼にも、草むしりしてたのよ。庭になんかいるんじゃないかなって｣

　母は自分の草むしりと地震に因果関係があるのではないか、と言い始めたのだ。私はそんな母の訴えを、震災の衝撃で多少ナーバスになっているだけだろうと思い、適当に受け流していた。

　しかし、その後も目立つ揺れがあった日は、決まって母が草むしりをした日だった。試しに父が草むしりをした日があった。しかし、地震は起きなかった。しばらく経ってから母が草むしりをすれば、地震が起きた。それから母は草むしりをするのが怖くなり、庭の手入れは全て父や祖父に任せるようになった。私は気にしない方が良いのでは、と思っていたが、実際に何度も草むしりをした日に地震が起きていれば、気にしてしまうのも無理はない。

　2021年2月。例のジンクスが不安ではあったが、父の多忙や祖父の体調により庭を手入れする人が居なくなったため、仕方がなく母が草むしりをした。

　そしてその日の深夜、地震が起きた。