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呪い・祟り

八尺マンさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

五十物語
長編 2022/06/12 18:31 9,120view
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俺は頭をフル回転させたが、そうそうに怖い話が生まれてくるはずがない

「はい。では、ついに最後の五十話目ですね。〇〇さんお願いします」

ついに自分の番が来てしまった

まだ何も浮かんでいない

「はい。えーと。それでは・・・」

考えろ。考えろ。
何でもいい。
何でもいいから何かワードを言え

「えーと。こ・・・これは私が同窓会に参加した時の話なんですけど」

俺の口から同窓会というワードが出てきた

同窓会

オカルト話では時々出てくる話ではある

そして、この五十物語では、同窓会のオカルト話は出てこなかった。

とっさの割にはいいワードだった

「小学校の同窓会だったんですけど、結構集まったんですよ。担任の先生も来てくれて。
で、私は数人のかつての男友達と飲んでいたんですけど、そこでA君の話になったんです。そのA君ってのは同じクラスの男の子だったんですが、変わった奴でして、時々壁に向かって喋りかけたりする、見えないはずのものが見えてしまう奴だったんです」

俺は頭で物語を考えながら、そのまま口に出していった
みんなが今までと違って俺の話に集中しているのを感じた

「で、そいつとは小学校卒業して以来会ってなくて、その同窓会にも来てなかったんですが、A君はどうしているんだろうなって話になったんです。

そうしたら、他のクラスメイトもA君が小学校卒業してからどうなったか知らないっていうんですね。

でも、この会の主催のB君なら知ってるかもなって話になって、B君に聞くことにしたんです。

B君は今回の同窓会のためにクラス全員に声を掛けてほとんどを参加させた立役者なんですが、そのB君に聞いてみても、『いや、俺もA君の連絡先だけはわからなかったんだ。他のみんなは色々なツテを使って突き止めたんだけどな』ということで、誰もA君だけはどうしているかしらなかったんです。

そこで誰かが言いました。『壁の中に行ったんだよ!』

いやいや、さすがにそれはないだろう、そりゃいつも壁に話しかけていたけどさと思いながら、声のした方向に振り向いたらそこは店の壁でした。誰もいません
他のみんなを見てみると、他のみんなも壁の方を向いて唖然とした顔をしていました。俺だけじゃない。他のみんなも聞いたのだ。
その後、ちょっとしたパニックになったけど、最終的には落ち着いてみんなで聞き間違えをしたのだろうってことになったんです」

講堂がしーんと静まり帰っていた
俺の声だけが響く

「でも、俺はそんなので納得できるわけなかった。確かに俺は声を聞いた。そして、今思えばあの声はA君の声だったように思えるんです。ちょっとたどたどしいカンジが彼のような気がしてならなかった。それで俺は試しに自分の家の壁に向かって声を掛けてみたんです。

『なあ。A君。そこにお前はいるのか』って。
そうしたら返事が来たんです。
『ああ。いるよ』
その声は同窓会で聞いた声でした。

3/6
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