正月の集まり

俺が中学3年生の時の話

俺の家では、毎年正月は俺の母さんの実家で過ごすことになっているんだけど、そこは大家族で正月はすごい人数が集まるんだ

フツーに50人くらいは集まる。

おじさんおばさん、姪っ子に甥っ子、いとこにはとこ

何でもありだ

それだけ集まるもんだから全員が全員どういう人なのかはわからなかった

忙しくて数年に一回しか来ない人もいるしな

で、元旦に俺ら家族は他の親戚の人たちと一緒におせち料理の準備をしてたんだ

母さんは料理担当で、俺と父さんは配膳をしていた

そんな時にひときわ大きな声が聞こえてきたんだ

「あらー。久しぶりねー。皆さま元気そうでよかったわー」

声の方を見ると、小太りな中年女性が近くの人に挨拶しながら家に上がってきていた

地味目な服を着た、どこにでもいるおばさんだ

俺は初めて見る人だけど、この人も親戚の一人なのだろう

近くにいた俺のおじさん（母さんのお兄さん）に話かけていた

「お久しぶりですー。何年振りになりますかしらー。でも、全然お変わりないですねー」

「やー。その・・・お久しぶりですねー。元気でしたか？」

「元気も元気よー。私の取り柄なんてそれくらいなものですからねー」

パワフルで明るい人だ

周りにいる人たち全員に声を掛けて、全員を笑顔にさせていた

皆、知っている人のようだ

「お久しぶりです」「お変わりないですね」

そんな言葉を皆、言っていた

「あら。もう食事の準備始めてたのね。いけないいけない。私もお手伝いしなくちゃ！　ちょっとごめんなさいね」

そういうとその人は台所に行き、棚を開けてエプロンを取り出し、身に着けた

「盛り付けやりますねー。これはこのお皿でいいのかしら？」