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妖怪・風習・伝奇

足が太いさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

霊柩車を見たら親指を隠せ
長編 2022/04/05 20:49 4,261view
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Aちゃんと別れて家に辿り着いて玄関を開けると、家の中が忙しい気配がしました。
リビングに入ると、暗い顔をしたお母さんと、Aちゃんのお母さんが顔を突き合わせて話し合っていたのです。
私が「ただいま」と声をかけても2人とも上の空で、何か難しい話しを延々としていました。
夕飯時になり、Aちゃんのお母さんが帰ると、玄関で見送っていたお母さんが「はぁーっ」と重い溜息をついたのです。

私「Aちゃんのお母さん、どうしたの?」
母「うーん、ちょっとね」
私「…もしかして、Aちゃんのお父さんのこと?」

母「何で知って…、そっか、Aちゃんとお友達だったね。Aちゃんから聞いたの?」
私「うん、さっき帰り道で…」

お母さんからは、「Aちゃんのお父さんは、お母さんの知り合いの住職さんのところにしばらく行くことになった」とだけ聞かされました。
Aちゃんも自分のお母さんから同じ話しを聞いたそうで、「住職さんのところに行くから、しばらくお父さんと会えないみたい」と言っていました。
そのすぐ後にAちゃんとそのお母さんは、別の県にある母方の実家で暮らす為、転校して引越して行ってしまいました。

あれ以来、Aちゃんとは全く連絡が取れていなかったのですが、つい先日Aちゃんから私の実家宛に手紙が届いたのです。
それによると、Aちゃんのお父さんは、あの時「狐憑き」になったようですが、住職さんに何日もかけてお祓いをしてもらったことで、狐の霊は成仏して取り除かれたようなのです。

しかし、Aちゃんのお父さんの魂が抜けて、そこに狐が憑いて、その狐も抜ければAちゃんのお父さんはどうなってしまうか…。
Aちゃんのお父さんの体はお祓いが終わると同時に、ミイラのように干からびてしまったのです。

Aちゃんはお父さんの遺体を見たらしく、手紙には「私があの時、お父さんを無理やり生き返らせようとしたから」「お父さんを酷い目に遭わせてしまった」「悔やんでも悔やみきれない」といった後悔の言葉が綴られていました。
Aちゃんには、手紙に書いてあった住所宛にすぐ返事を送ったのですが、どうしてなのか何度送っても私のところに返ってきてしまうのです。
心配になって、手紙の住所に行ってみましたが、そこは何十年も誰も住んでいない空き家でした。

Aちゃんは、どうなってしまったのでしょうか。
私に手紙を送ってきたのは、本当に本物のAちゃんだったのでしょうか。

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