心霊写真の捏造

友人のMは怖い話が大好きなお調子者です。

「ねえねえ見て、新しい心霊写真が撮れたの！超怖いんだから、びびるよー」
「また？よく飽きないねェ、あんた祟られるよ」

そういってMが見せてくるのは大抵スマホに保存したブレブレの画像です。本人は絶対心霊写真だと主張しますが、正直よくわかりません。

私の反応がそっけないのが不服なのか、Mはわざわざ画像を加工し心霊写真の捏造を始めました。

集合写真に他人を合成したり反対に被写体の身体の一部を消しては、それを心霊写真と偽り何も知らない友達に見せて怖がらせるのです。

「やめないよ、腕とか足とか消して本当に事故っちゃったらどうするの」

しかしMは聞く耳を持ちません。

数日後、恐れていた事が起こりました。Mが写真を加工し、右手を消した友人が事故で病院に運ばれたのです。彼女は右手に麻痺が残りました。

これにはさすがのMも青ざめ、もう二度と心霊写真の捏造はしないと誓ったのですが……。

先日Mから飼い犬を撮った写真が送られてきました。私は即座に電話をかけて抗議しました。

「あんたまだこんな事やってんの？いい加減にしなよ」
「何の事？」
「とぼけないで、お皿に映ってるじゃん」

画像の下、プラスチックの餌皿にはスマホを構えたMの姿が映り込んでいます。彼女の肩には誰かの手がかかっていました。

「知らない。この日はみんな留守だったのに」