ニキビを潰しすぎると……

私は汗っかきで肌が脂っぽいのが悩みです。毎日まめに洗顔しているのにちっとも効果ができません。夜更かししてネットを見ているせいでしょうか、肌荒れが酷く吹き出物も増えました。

「げっまたニキビだ」

その日の朝、洗面台の鏡に向き合った私は顎の右下に大きなニキビを見付けました。できているのに全然気付きませんでした。

赤く腫れたニキビを見ているとむずむずし、我慢できず指で挟んで潰しました。ピュッと飛び出した膿が鏡に張り付きます。鋭い痛みと放出感が気持ちいいです。

これに味をしめ、その後はニキビを潰すのが趣味になりました。家でも学校でも暇さえあればニキビを潰し続け、私の顔は酷い有様になります。無神経な姉などはふざけて「アンタの顔お岩さんみたい」と茶化します。自分でもやめたいのにやめられず、すっかり癖になっていました。

数か月後、洗面台に向き合った私はぎょっとしました。額の真ん中に一際大きな赤いニキビができているのです。

「コイツめ」

指で挟んで潰した瞬間、「ぎゃっ」と声がしました。

「え？」

鏡に映したニキビの痕は、まるで人面のように見えました。
私が潰してしまったのは人面瘡のたまごだったのでしょうか……以来、ニキビを潰すのはやめました。