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心霊

幸智さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

たまに病室にいるナニカ
短編 2021/12/28 19:23 916view

私の娘は体が弱く、生後2ヶ月から入院していて、私も娘の入院の付き添いで1年ほど一緒に入院していました。

一般病棟に移ってからも、厳重な管理が必要な薬で治療を行なっていたので、ナースステーションから1番近い重症者が入る個室に長らく入院していました。

娘から離れられないのでほぼ一日中その部屋で私も生活していましたが、たまに不思議なことがありました。

1番多かったのは、センサー式タッチレスの蛇口から勝手に水が出ることでした。近くに人がいるわけでもないのに出始めて10秒ほどで続けたらまた勝手に止まっていました。

ほかにも、窓は開いていなくて空調の排気口からも遠いところに置いてある点滴棒にかけられた聴診器が大きく揺れて点滴棒に当たりカーンと大きな音が鳴ったりしていました。

聴診器持ったことがある人はわかると思いますが、聴診器ってけっこう重さがあるから人が触ったり強い風でも吹いていないと揺れたりしないんです。

そういうことはけっこう日常的にあり不思議だなとは思っていましたが、嫌な感じはしませんでしたし害はなさそうで娘の機嫌も良かったので「なにかいるのかな?病院だしそういうこともあるのかな」ぐらいの気持ちで気にせずに過ごしていました。

1番不思議だったのは、娘が高熱を出したときでした。夕方に熱が出始めて、つらくて眠れないのかその夜の娘は機嫌が悪くて抱っこしていないと眠れない状態でした。

しょうがなく、娘のベッドに座り抱っこした状態で私もうとうとしていました。変な体勢だったことと娘が心配だったことで私も眠りが浅く、看護師さんが見回りに来るたびに起きてしまいました。その夜は普段以上に看護師さんが見回りに来ているように感じ、ありがたいな申し訳ないなと感じながらうとうとしたり、目が覚めたときは看護師さんと娘の様子について軽く言葉を交わして朝まで過ごしました。

翌朝、娘の熱は微熱程度まで下がり機嫌も治りました。普段と同じように遊ぶ姿に心底安心したのを覚えています。

看護師さんたちにも感謝を伝えたいと思い、いつも以上に見回りに来てくれたことにお礼を言いました。

すると、不思議そうな様子の看護師さん。

「お母さんがナースコール押したんじゃないんですか?ナースコールが鳴ったけど返答がなかったから、私たちはお母さんがナースコール押して反応待つ間に寝ちゃってたのかと思って様子を見に来ていたのですが..」

私はその晩、ナースコールを1度も鳴らした覚えはありませんでした。看護師さんの言うように寝ぼけて押してしまったのかもしれませんが、私はナースコールのある頭側と反対の足側のベッド柵に寄りかかり座っていたので、娘を抱っこした体勢ではナースコールまで手が届きません。寝ぼけながら押すには遠すぎる位置でした。

真相はわかりませんが、たまに病室にいたなにかが娘を心配してナースコールを押して看護師さんを呼んでくれたのでしょうか。わたしにはそうじゃないかなと思えてなりません。

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