小さな息子の見えない友達「ディミトリ君」

息子がまだ3歳のころ、主人の仕事の都合で海外に引っ越すことになりました。

海外への移住ということで、あまりものをもっていくことが出来ず、最低限の必要なものだけを日本から送ってもらったのですが、息子の大切なおもちゃは泣く泣く日本に置いていき、現地で新しく購入することにしたのですが、息子は愛着のあったおもちゃがないことに気づき大泣きする日々。

そんな息子も現地の幼稚園に編入することになったのですが、もちろんまだ現地語もわからず、意思疎通が出来ず大変なんだろうと心配していたのですが、担任の先生からは「まだ3歳の子供なんてみんな一緒よ」と言われ少し安心しました。

少しずつ、現地語も覚え始めてきたある日、「ディミチ、ディミチがー」と誰かの名前らしきことを読んでいたのです。ああ、お友達にディミチという子がいるんだねー、くらいにしか考えていなかったのですが、よく聞いてみると、「ディミチ」ではなく「ディミトリ」と言ってるようです。どうやらこのお友達と毎日遊んでるよ、とのことです。

ディミトリと今日はこんなことして遊んだよー、と教えてくれ、一体ディミトリはどんな子なんだろう？と思い、ある日お迎えの時に先生に聞いて見ることにしました。

しかし、先生曰く、息子はまだ誰とも遊ぶことができず、独り言を言いながら遊んでいることが多いそう。
そのあと、先生は少し顔色を変えて言いました。

「ディミトリ君はちょうど去年の3歳児クラスにいた、でも病気で亡くなってしまった」と・・・。