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不思議体験

みみっみさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

主は後ろに
短編 2021/12/23 09:23 1,330view

これは、私が学生の頃の夏休みに体験した話です。

私は、心霊などという類の話が好きで、夏という事もあり夏休みに入ってからは、ほぼ毎日心霊系の動画を見漁っていました。部屋を暗くし、1人布団に篭って、イヤホンをつけてスマホに動画を映す。そんな日が数週間続きました。
その日も、心霊動画を見ていました。すると、背後から何か物音が聞こえたような気がしたのです。イヤホンを外して、背後を確認しましたが狭い自室には私しかいません。ただ、何となく怖くなってその日は動画を見るのを止めました。

怖い話をすると、霊が寄ってくる…だなんてよく言いますが。
その日以来、私の周辺で物音が聞こえるようになりました。
その音とは、何か重いものが床に置かれるようなドスンドスンというような音で、足音のように聞こえてきました。そう聞こえたら、もう足音にしか聞こえなくなり、耳を澄ますと、男物の革靴の足音に似ているような気がしました。
ドスン、ドスンという音は決まって私の背後、部屋の隅から毎日聞こえるようになっていました。
ただ、その時にはもう足音に慣れている自分がいました。
というのも、私の家では度々このような不思議なことが起こり、足音やラップ音やらは今回が初めてでは無かったからです。

確かに足音ですが、足音はずっと同じ場所で足踏みをしているようでしたし、姿も何も見えないのだから、音が聞こえるということ以外何も問題が無い。
だから私は、足音は無視して心霊動画を見続けました。

そんなまま、夏休みの後半に入り、いよいよ来週辺りに夏休みが開けるという時期になりました。
その日、私は相変わらず部屋に籠って1人で心霊動画を見漁っていました。すると、足音がなり始めました。またか…と思い、無視をしました。
その時、見ていた動画が急に止まりました。なんだなんだと動画を再生しようと思うと、足音が大きくなったように感じました。
イヤホンを外し、体の向きはそのままで耳を澄ませると、確かに足音が強くなっていて、途端に言い表せない程の恐怖を感じました。そのまま、部屋から飛び出た私は、悲しくもないのに泣いていました。
呼吸が荒くなって、部屋に入るのが怖くて堪らなくなりました。

その後、流石に心霊動画を見続ける訳にはいかず、しばらく時間を置くことにしたのですが。

次の日、部屋で寝ていると、女の友人から電話がかかってきました。

その友人は、私と仲が良く用事もないのに電話をするということは日常茶飯事だったので、気楽に電話に出ました。
もしもしー、と声をかけるとザザッというようなノイズが聞こえるだけでした。友人はうんともすんとも言わず無言を通していたので、私はいつものようにふざけているのだと思いました。
なんだよー、なんか喋りなよー、だなんて笑いながら言っても、ザザッというノイズだけ。そして、友人が喋る気が無いのなら私も喋らないと、悪ノリで無言を貫くことにしました。

ザザッ…ザザ…
ノイズ音の感覚が少し長くなり、周囲の音を拾えるようになりました。
サーサーというような音が聞こえてきて、頭の中に森が浮かびました。木々が風で揺れ、葉同士が当たる音。
そして、微かに別の音が聞こえてきたのです。
ドスン、ドスン…という、重い何かが床に置かれるような音。森を歩く男の姿が目に浮かびました。直感的に、この音は足音なんだ、と思ったのです。
そして、その音は何処と無く不気味に感じました。足音は、等間隔で聞こえてくるのではなく、ドスン…ドスンドスン…ドスン…というような、気持ちの悪い聞こえ方がするからです。まるで、男がフラフラと森を彷徨うように聞こえたからです。

そして、先日私が部屋を飛び出た時に感じたような恐怖が思い出されました。流石に怖くなった時、電話はプツンと切れてしまいました。
なんだったんだ…と思っていると、友人から再び電話がかかってきました。

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