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心霊

キョンシーズさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

廃病院の赤い電話
長編 2021/11/20 21:28 6,064view
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「・・・なんで・・・・」
「・・・なんでたす・・・・」

このような声が聞こえると受話器からの音はぱったりと止み、
再び部屋の中は静まり返りました。

私はもはや何が起こっているか全く理解出来ず、恐怖のあまり心臓が破裂しそうな程激しく鼓動し、息切れを起こしていました。

そしてこのままではマズい一刻も早く避難しようと
すくむ足を何とか動かそうと懸命にもがいていると、
「ピリリリリリリリッ!!!!!」
とまたしても電話が鳴りました。

私はまた動けなくなり、(もうダメだ!)と思い、目を閉じて大人しく自分に起こる事を受け入れようとすると電話の音が止みました。

すると耳元で

「なんで助けてくれなかったのぉおおお!!!」

とものすごい大きなこの世の物とは到底思えないような声で女性が叫んできました。
鼓膜が破れそうな程大きな叫び声で耳が痛くなり、
ハッと目を開けると目の前に女性の形をした黒い影が立っていました。

「うわぁあああ!!!」

ともはや命の危険を感じた私は叫びながらすくむ足を全力で動かし、外に逃げる事に成功しました。
そのまま車に乗り込み、その日は友人の家で一晩過ごしました。

翌日事情を会社に説明し現場を一旦ストップしてもらい、
休みをもらった私は友人と一緒に恐る恐る自宅に戻り部屋の中を確認すると
あの電話が無くなっていました。

もはや一刻の猶予もないと思った私はすぐにお寺に行き、

例の住職に事のあらましを全て話しました。
すると住職は

「その電話に憑いてる霊は医療ミスで命を絶たれた女性で間違いないでしょう。」
「彼女は自分の死を受け入れられずにあの電話を使って病院を訪れる人に助けを求めています。」
「電話の除霊はすぐにします。ですが病院自体に巣食う霊の数はおびただしい。」
「きっと今はろくにお払いもしていない状況でしょう。その病院は長い時間を掛けて除霊しなくてはなりません。このまま工事を続けるともっと酷い事が必ず起きるでしょう。」
「私が会社の方に掛け合ってみます。あなたはお払いが済んだら少しゆっくり休みなさい。」

と言いました。
そして住職が元請けに掛け合い除霊が終わるまで工事は中止。
その2年後に除霊が完了。
私達は再びその廃病院の解体作業に入りましたが、
不可解な現象は一切起こる事もなく無事に工事は完了し、その廃病院は更地になりました。

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コメント(1)
  • 私も行ったことがある
    A病院かな?

    2022/05/25/20:44

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