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心霊

キョンシーズさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

山奥の民家
長編 2023/02/01 17:58 4,539view
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私の地元には、行くと必ず何らかの霊的な現象が起こると言われるかなりヤバい心霊スポットがあります。私は17歳の時にその場所に行き、とんでもない恐怖を味わいました。

その心霊スポットは、とある山奥にある古い民家で、かなり広い敷地を有する二階建ての大きな一軒家でした。私の地元では有名な心霊スポットで、行った人ほぼ全員が肝試しの最中、あるいは帰り道や後日に何らかの霊的な現象に遭っていました。

ポルターガイスト現象が起きたり、心霊写真が撮れたりなどの比較的軽いものから、帰り道に事故に遭った人や自宅に幽霊が出て両腕に手形がはっきりと残った人など起こる現象は様々でしたが、行った人は皆一様に「二度と行かない。」と口を揃えて言っていました。

私は小学生の時からそのスポットの噂は耳にしていましたが、”絶対に行きたくない”と思っていました。しかし17歳のとある暑い夏の日に、私はついにその場所に足を踏み入れる事になってしまいました。

この日私は、友人達とバイクでツーリングを楽しんでいました。
私を含め、男女8人。丁度男女比が4:4だった事もあり、4台のバイクにそれぞれ女の子を一人乗せて特に行く当てもなく、市街地を離れてただひたすら海沿いや山道などをバイクで走っていました。

とても暑い日だったので、風がとても気持ち良く、最高な気分でバイクを走らせていると、あっという間に夜になり、辺りはすっかり暗くなってきていました。
適当にバイクを走らせていたため、いつの間にか街灯が少ない見知らぬ山道に入っていてとても薄暗かったので、一旦バイクを路肩に停め、友人達と今後の進路を話し合う事にしました。

現在地を確認すると、かなり遠い場所まで来ていたので、来た道を引き返すのが無難だという結論に至ったのですが、友人Aが「このまま真っすぐ行った方が近いぞ。」と言ってきたので、我々の中で一番道に詳しいその友人の言葉を信じ、真っすぐ進む事にしました。

しばらく薄暗くて対向車も全く現れない山道を真っすぐ進んでいると、いきなり霧が濃くなり、視界が最悪な状態になりました。先頭を走っていた友人Aのテールランプを頼りにゆっくりと走っていると、私のバイクの後部座席に乗っていた友人Bが「何かすごい寒い・・・」と、私にしがみついてきました。

確かに少し前から急激に気温が下がり、ものすごく寒くなっていました。
”きっと霧のせいだろう”と思い、バイクのサイドバッグに入れていたライダースジャケットを友人Bに手渡し、そのまま運転していると、いきなり友人Aのテールランプが見えなくなりました。

突然消えた友人Aに驚き、私達後続の3台はバイクを急いで路肩に停めました。
「あいつらどこ行った!?」と霧でほとんど視界を奪われていた私達が、友人Aの突然の失踪に慌てふためきながら懐中電灯を手にして友人Aを探していると、
友人Cが「あれAのバイクじゃねぇか?」と、中電灯で照らした先を見てみると、確かに友人Aのバイクが、反対車線側にあった古い民家の敷地内に停めてありました。

霧の中に薄っすらと見えたその民家はとても大きくて古く、ものすごく不気味で異様な雰囲気を放ち、佇んでいました。「とりあえず行ってみるか。」と我々は、
反対側にあるその不気味な民家の方に向かいました。

その民家の広い敷地の中にポツンと停めてあった友人Aのバイク。
しかし友人Aとその後ろに乗っていた友人Dの姿はどこにもありませんでした。
皆で辺りを必死に捜索してもどこにも見当たらないAとDの姿に、我々は大いに焦りました。

「こんな山奥で失踪とかマジでやべぇやつじゃん!」と私達がAとDの身を案じて慌てていると、「今気付いたけどここってあれじゃね?あのヤバい心霊スポット。」と、友人Eが言いました。
確かに噂に聞いていたその心霊スポットと、立地条件や外観などが完全に一致していました。

昔から”絶対に行きたくない”と思っていた心霊スポットに思わぬ形で足を踏み入れてしまい、私は急激に怖くなって、全身に鳥肌が立ちました。寒気も更に増して真冬の様な寒気に襲われ、身体を振るわせていると、女の子達は「イヤだ怖い帰りたい」とべそをかきながらパニック状態に。

いつもは勝気で強気な男達も私を含めて全員が恐怖で震えあがり、私達はどうしていいかわからなくなりました。しかし”一番怖い思いをしているのきっとAとDであろう。”そう思った男達は、”一番に案じるべきは姿を消したAとDだ。”と何とか気を取り直し、パニック状態の女の子達を落ち着かせて、AとDの捜索を続行する事にしました。

肩がずっしりと重くなる様な感覚に襲われながらも、広い敷地内を皆で一緒に探しましたが、やはりどこにも姿が見えないAとD。霧はいつの間にか晴れたものの、夜の闇は更に深くなり、真っ暗になっていました。

そんな真っ暗な中、こんな山奥の民家で姿をくらませ続けるAとDの身を案じると一気に不安になりました。
敷地内の中のどこを探しても見当たらない。

探していない場所は、どこまでも不気味でとんでもなく異様な雰囲気を放つ民家の中だけでした。
全員が入りたくなさすぎて、最後まで入らずにいた民家の中に遂に足を踏み込ませざるをえなくなり、我々は一気に緊張感に包まれました。

近づく程に耳鳴りが酷くなり、霊感がなくとも”何か”がいるのがひしひしと伝わってきました。そしてガラスが全て割られ、こじ開けられた様な痕が残る玄関からなぜか私を先頭に民家の中に入っていきました。

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コメント(3)
  • ガチの呪怨の館ですね…

    2023/02/02/00:07
  • 一体どこにあるでしょうか?気になります。

    2023/02/02/00:38
  • YouTuberも行かない本当にヤバい場所ってあるからね、、、

    2023/02/02/18:10

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