壊せないアパート

学校を休んでいたのは兄妹で熱を出していたそうです。とても怖い思いをしたから熱を出したのか？何でだか分からないけれど２人で熱を出していたそうです。

私の兄も話を聞いて学校から帰って来ました。友達には悪いけれど私はついて２階に行かなくてよかったと、心の奥底から思いました。

あの廃屋は壊さないのではなく壊すことが出来ないのかもしれないと思いました。
また、母親の言った通り興味本位でそういう場所に行くものじゃないと本当に本当に思いました。

暫く、その廃屋は荒れ果てたまま建っていましたが、いつ崩れてもおかしくない状態になった時に敷地の回りを囲み廃屋が見えない状態にして、何やら大がかりな事をして廃屋を壊していました。

壊したら壊したで廃屋があった敷地の近くを通ると不思議な現象が起こるとか、変な声が聞こえる等、様々な噂話を耳にしました。

私は友達から話を聞いていたので不思議な現象が起きてもおかしくはないと思いました。でも壊す時に大がかりな事をしていたので、あの廃屋があった敷地は静まり、もう何も起こらない様な気もしました。

でも怖がりな私は近くを通るのが嫌で時間が掛かっても遠回りをしていました。

今でも、あの荒れ果てた廃屋の事を覚えているので、たとえ今は違う建物が建っていても夜は遠回りをしています。
子供の頃に身についた行動は大人になった今でも自然としてしまうものですね。

私の友達は引っ越してもういませんが、私は結婚した今でも近くに住んでいるので、度々思いだします。
きっと友達兄妹も思い出していると思います。ただ友達と連絡を取り合って昔話をしても、あの荒れ果てた廃屋の事は絶対に話しません。何故だか分かりませんが、友達の為にも話してはいけないような気がするのです。

それに一番は私自身が、もうあの荒れ果てた廃屋を思い出すのが怖くて嫌なのだと思います。

先日、兄にあの荒れ果てた廃屋の事を覚えているか？たずねると忘れられるはずがないよ…と言っていました。やっぱりね…と思いました。
でも、もうこの事は今回で本当に思い出すのを止めたいと思っています。怖いので…