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心霊

FBSさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ボロすぎるアパートの住人
短編 2021/09/27 15:27 1,321view
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私の友人が住んでいるアパートがある。
比較的新しく広くおしゃれな現代的なつくりとなっている。

そのアパートの裏に隠れるようにありえないほボロ過ぎるアパートが一棟建っている。
裏にあるので全く関わりがないが、同じアパートの住人から聞いた話では年々住む人も居なくなり、今は金属業を昔やっていたかなり高齢のおじいちゃん一人しかそのボロアパートに住んでいないらしい。
私はアパートで自分一人しか住んでいないなら貸し切り状態でラッキーじゃんと思うが、そのボロアパートに関しては廃墟のようになっており悍ましく怖いので逆に嫌だと思った。
そんな友人とはお互いの仕事の影響もあり、一年以上会うことがなかった。

時が経ち彼から連絡があり、引っ越しもしたし一緒に飲まないかと誘われた。
流れ的に新居で飲むかと思いきや友人がお店に行きたいということで居酒屋で再開することになった。

特に変わることもない友人が酔いがまわり始めた頃、溜まっていたことのように話始めた。

自分が友人のアパートに遊びに行かなくなって数か月経った頃らしい。
夜になると例の裏にあるボロアパートからキーンキーンという金属音が聞こえてくるようになったらしい。
友人はてっきり老人がついにボケて昔を思い出し金属をいじり出したと思っていたらしい。

だが、それが度々音がするのが続きイラついた時に窓を開けてみるも特に窓に灯りついているように見えない。
もともとその老人はお金が無いのか夜は電気をつけないのだ。

後日、アパートに住む住人にそれを言うとあぁ確かにたまに聞こえるかもという返事だった。
ボロアパートはすぐ裏にありながら、そこまで行くのにぐるっと道を一回りしてでないと表の玄関側までたどり着けない。

友人は休みの日中だいぶ久しぶりにボロアパートの玄関側まで自転車で行ってみたようだ。
相変わらず廃墟と同じ状態だ。
トラブルになるのも嫌なのでそのまま何もせずに帰ったそうな。

それからも度々キーンキーンという金属音が夜に聞こえてくることがあり、ついにそのボロアパートの管理者へボロ看板から番号を見て苦情の電話入れたそうな。
するととてもサービス業をやっている人間とは思えない態度の男性が電話に出てきて「は?何言ってるの?そのアパート誰も住んでねぇよ」
友人は「老人が一人住んでるじゃないですか。」と疲れつつ答えると「あの爺さん亡くなってるよ」と。
不気味さを感じ友人は引っ越すことを決意したそうな。

引っ越し前夜の最後に窓を開け、半分名残惜しさもまじりあった感情でボロアパートを見るとモザイクガラス窓の中から黒くゆらゆら動くものが覗き込んでいたそうな。

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