霊は付いてくる

私はかつて老人ホームで働いていたのですが、その時は特に夜勤帯に数々の心霊現象に遭遇していました。夜勤中に入所していないはずの高齢者の女性の霊を見たり、あるいは窓の外から見える電話ボックスを定期的に見るといつもそこにはスーツ姿の男性が電話に向かって立っているというような心霊現象を見てきました。
その影響かはわからないのですが、その頃は退勤して老人ホームにいない時にも心霊現象に遭遇するようになりました。特に日勤を退勤してから自宅に帰る時の車から人影をよく見ました。その人はなぜか私がしっかり霊らしき存在のものを確認しようとして見ると消えてしまうのです。なので他の心霊現象にありがちな、見た霊が自分の方をじっと見つめているとか、あるいは襲ってくるといったようなことはありませんでした。

しかし、その時は勤務中にしょっちゅう何かしらの心霊現象に遭遇してばかりだった上、休憩時間もろくに取れないくらいの勤務状況で疲労困憊だったことからあまり気にも留めていませんでした。元々仕事をする前は霊感などほとんどなかったため、仕事を辞めたら消えるだろうと思っていました。

そして結婚をきっかけで退職し、これで霊感もなくなって人影を見ることもないだろうと思っていたのですが、退職した後もしばらくはその人影を見ていました。驚いたのは退職後すぐに就いた別のパート勤務をしていた時、その勤務先でも同じような人影を何度も見てしまったことです。
その勤務先も古くからあるところなので何かしらの心霊現象に遭ってもおかしくないのですが、老人ホーム勤務時代と全く同じような人影を見ていたことから、老人ホーム時代に見た例がそのまま付いてきているのかもしれないと思いました。
案外気が付かないうちに人は霊を連れてきているのかもしれませんね。