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不思議体験

GENGOさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

缶蹴り遊び
短編 2021/03/28 13:20 3,557view

翌日、学校に現れたAに対して。
怒って文句を言う子もいたが、
Aは「ごめん」と謝り、まあ子供だったし、
すぐにまた皆、普通に仲直りをしていたと思う。
だがそれからしばらく、缶蹴りをしようとなっても
Aが嫌がり、参加しなくなった。理由は言わない。
よっぽど、あのときにオニ役で負けたのが悔しかったのか?
ただでさえ子供の数が少ない村の中で、遊びに参加しないAは、
だいぶ文句を言われることになったが、それでもAはかたくなに
缶蹴りに参加しなくなった。

ある日、とうとう子供たちでAを取り囲み
「なんで缶蹴りやらないの」と問い詰めた。
ゴニョゴニョとはっきりしない返事をしていたAは、
やがてボソッと
「指がかかってたんだもん。怖いもん。」
とつぶやき、泣き始めた。

Aをなだめすかしながら詳しく聞いたところ、
あの時にAが納屋に近づき、中を覗こうとしたとき、
納屋の扉の端に指かかっているのが見えたのだそうだ。
内側から誰かが扉に指をかけているのが。

缶蹴りは、子がオニに見つかったとしても、オニが缶の場所に
駆け戻って缶を踏んで、見つけた子の名前を叫ばなければ終わらない。
オニよりはやく缶まで走って、子が缶を蹴倒せば子の勝ちになる。
間違いなく、隠れている子が今にも扉を開いて飛び出して、
オニのAを出し抜いて缶に向けて走ろうとしている。
よし最後の子を見つけた、とAが思った瞬間、
背後で缶が蹴られていた。

「じゃ、誰だよあの指。
 また見たときにはなかったよ、指。
 でも飛び出してきそうじゃん。
 納屋から。指のやつ。
 だから帰ったんだって!」

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