学校の音楽室のポスターを見に行ったら階段から足音がして

子供の頃に体験した話なのですが、学校の音楽室に貼ってある人物像のポスターの目が左右に動いたとか、瞬きをしたという噂が学校中に広まりました。

まさかポスターの目が動くわけがないと思い、「子供だな」と思い、相手にはしていませんでした。よくある学校の七不思議的な怪談話を誰かがしたのだろう。そして、その話がみんなに伝わってしまったのだろうと思うようにしたのです。

でも、多くの子供が「私も見た」「僕も見た」と言うので、どうも気になってしまった私は、「確かめてみよう」と思いました。

学校が終わってから、私は友達と音楽室へと行くことにしました。
ドア越しから見える音楽家のポスターを見ると、ギロッと有名な音楽家の目が右から左に動きました。

いきなりの出来事でなにがあったか把握できず、オロオロしていました。「キャー」隣にいた友達がいきなり叫び声をあげます。

私はその声の方に驚いてしまい、逃げ出そうとしてしまいました。
「ね、待って！階段から足音がしない？」と聞いてきます。
「足音？」耳をすましてみれば、ペタン、ペタンとゆっくりこちらに向かってくる足音がしてきます。

私たち以外には誰もいません。

「先生かな？見回りしてるのかも」
そう友達に伝えて、落ち着いてもらいました。

またポスターを見ていると、「また目が動いた。それに、足音も聞こえる」と友達が騒ぎ出します。
どうも、友達は霊感があるようです。
「来る、来るよ！どうしよう。あの階段を使わないと帰れないよ」
もう泣き叫ぶ友達をなだめるのに必死の私。

「どうした？！」
階段の方から男性の声が聞こえてきました。
「あ、あの、音楽室に来たんです」
「なにしに来たんだ」

「ポスターを見に来て。目が動くっていうから」
「・・・」

さきほどまでのペタペタという足音がぴたりとやみました。
「なんか変じゃない？」
「なんで？」
「下りてこないもん。誰も」
「そうだね。どこに行っちゃったんだろう」

そのとき、音楽室の方から「うううう」というなり声が聞こえてきたのです。
「うわあ」
私と友達は手を取り合って逃げました。