奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

綿貫 一さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ネズミ
長編 2024/02/01 08:59 4,959view
4

私は、ゴクリと息を飲みました。
これが、祖母がネズミに対して異常な程執着する理由だったのです。

「……さっきも言ったけどね、アイツらは何でも齧る。
鋭い歯でね。ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、って。
家の壁だって、電気のコードだって、それに、人だってね。
かわいそうに、その赤ん坊は、ネズミに噛じられた怪我と、傷口から入った菌がもとで、そのあとすぐに亡くなってしまった。
お姉さんは、すっかりおかしくなって、しばらくして実家に帰されたそうだよ。
後になって、親や親戚から聞いた話だけどね――」

その後、家のあちこちに毒団子が置かれました。
天井裏に、祖母の部屋。
玄関、風呂場、台所。
トイレ、縁の下、庭の植え込みの陰など。
それこそ至る所に、祖母はその白い団子を置いたのです。

私や両親は、少々うっとおしくも感じましたが、それで祖母の気が済むならと、何も言いませんでした。
実際、その後、祖母は、

「天井裏からネズミの足音が聞こえなくなったよ。
みつかちゃんと一緒に作った、団子のおかげだね」

と、笑みさえ浮かべるようになったのです。

幻のネズミに怯える日々から開放され、ようやく、家の中に平和が戻ってきました。

ところが――。

「ええと……今日は佐藤くんはお休みです」

朝のホームルームで、クラス担任の若い女の先生が言いました。
教室が少しざわめきました。
佐藤くんは、いつも元気いっぱいなサッカー部の男子で、欠席することなんか、まずなかったからです。

「先生ー、アイツ風邪ですか?」

佐藤くんと仲の良いクラスの男子が尋ねました。
先生は、その問いになぜか表情を強張らせました。
そして、

3/6
コメント(4)
  • 綿貫です。
    それでは、こんな噺を。

    2024/02/01/09:00
  • ネズミって都会でしか見たことないからそこだけ引っかかる

    2024/02/01/10:20
  • ど田舎だけどネズミめちゃくちゃいました

    2024/02/01/11:53
  • 遥か昔、たまに、天井裏にネズミがいたことがあります。

    2024/02/02/10:20

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。