豆大福

知人の話を書かせて頂きます。体験した本人は怖かったそうですが傍から聞くとあんま怖くないです。

私は以前とある福祉施設に勤めていました。その同僚の女性(以下Aさんとします)から聞いた話です。

Aさんはデイサービスで働くおばちゃんで利用者人気がとても高い人です、特に利用者のBさんには大層気に入られており、よくお話されていたそうです。Bさんは市内でも有名な和菓子屋の女将さんでデイの利用日によく和菓子を差し入れてくれる優しいおばあちゃんだったそうです。そんなBさんでしたが昨年の正月に餅を喉に詰まらせて亡くなったそうです。葬式中、皆口々に「和菓子屋が餅で死んだら世話ないのに」と悲しみ半分呆れ半分に話し、娘さんが「まぁ90過ぎまで生きたし好きな物食べて逝ったんだから幸せだったでしょ」とあっけらかんに語っていたそうです。そして葬式に参加したAさんが「Bさん豆大福が好きだったから」と仏前に豆大福を3つ程お供えしBさんの冥福をお祈りしたそうです。

それから数日後、Aさんが夜寝ていると金縛りに合い目が覚めました。そこには着物を着たBさんが正座しており、生前見た事がない形相でAさんを睨んでいました。Aさんは驚きながらも何とかBさんの名前を呼ぼうともがいているとBさんが「アンタ!私は餅で死んだのに大福を供えるなんて何考えてるの!!私をもう1回殺す気かい!?」と手で畳を叩きながら怒鳴ってきたそうです。

その後Bさんが現れる事はなかったそうですが「私Bさんに祟られるかも!!」と軽くパニックになりながらAさんはこの話をしていました。話を聞いて笑いを堪えながらも「大福如きで祟られてたまるか!」と思いましたが口にはせず適当に励ましてあしらっておきました。

先日、1年振りにAさんにお会いする機会があり改めてこの話を聞くと「あの時は本当に怖かったのよ!私今でも餅も大福も食べられなくなって!」と話され「多分だけど餅食べたら死ぬのよ!私!!」と興奮気味に語るAさん。そして「餅とか大福が食べられなくなるのがBさんの祟りなのかも!」と涙目で語るAさんに我慢出来ず「ンなワケ無ぇだろ!!」と1年越しにツッコミを入れてしまいました。めっちゃ気持ち良かったです。

以上、約1名が怖い怖い騒ぎまくってた話でした。お目汚し大変失礼致しましたm(_ _)m