顔に見えるんだよ

半分いらだちながらも、電話に出ます

「あー○○(僕の名前)？この前さ、顔に見えるって相談したじゃん？」

Dによると、夜中に目が覚め、トイレに行こうとした時、洗面所の鏡に映った自分の顔が、あの例の顔に見えたそうです。その瞬間から家の中の色んなものが、顔に見えてきて、家を飛び出したとの事。
僕は少しいらだちを覚え、
「おい。いい加減にしろよ。そんなに酷いんだったら早く病院……」

その瞬間
「うわぁぁぁ!!」

というDの叫び声で、僕の話し声は切られます。
「顔！顔が追いかけてくる！」

「おいD…」

そこから何とかしてDをなだめ、とりあえずDは公園のベンチに座っているそうです。

「だから。ただの見間違えだって。明日ちゃんと病院行ってみ…」

D「あ………」

またもやDに会話を切られます。
「D?」

D「地面に…顔が…」

プツッ…ツー、ツー。
そこで電話が着れました。

「おいD？おい！」
そこからいくら電話をかけても、Dには繋がりません。
次の日、学校でDに会うなり、

「おい、D。昨日の電話なんだったんだよ」

と訪ねますが、Dは「なんの事？」と言わんばかりに、首を傾げます。その日から、Dは「顔に見える」
なんて事は言わなくなり、いつも通り普通のDに戻りました。
いや、普通と言ったら嘘かもしれない。Dは、あの電話があった後からやけに大人しくなったんです。
人ってこんなに変わるもんだっけ？と疑うほどに。
しかし、それを除けば、普通のDなので、あまり気にしていません。

あー。あと最近。やたらと、シワや模様が人の顔に見えるんですが、
それって、僕の勘違いですよね？