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心霊

吉備津之釜さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ネズミ色のパーカー
長編 2023/04/01 22:39 2,988view
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その後、しょうがないので私も帰ろうとしたのですが、別の子に誘われたのでそのまま公園で遊ぶことにしました。
遊びながら途中で気になり、女の人のほうを見たけれど、いつの間にかいなくなっていて、やっぱりAちゃんが私を怖がらせようとしただけなんだろうと思ったのです。

「ばいばーい、みんなまたねー!」

夕方のチャイムがなると、みんないっせいに公園を出ていきます。
私も一緒に遊んでいた子たちにばいばいして、家に帰ろうとしたんですが、ふいに背中に誰かの視線を感じたのです。

振り返ると、ねずみ色のパーカーを着た女の人がクマの滑り台の横に立っていました。

「え、さっきまでいなかったよね……」

頭に浮かんだのはAちゃんの言葉です。

――あの人、顔がないんだもん。

女の人にはちゃんと顔があります。

私のほうを見ていて、ゆっくりとスローモーションのように首をかしげて……。

「か、帰らなくっちゃ!!」

何だかよく分からない恐怖が芽生え、私は一目散に駆け出しました。

家までは走ればたったの数分です。
横断歩道を渡って、1つ目の角を右に曲がればあとは真っすぐ。
その間、一度も後ろを振り返ったりはしませんでした。

門を開け、ポケットから鍵をだして、玄関ドアを開けて……。
誰も入ってこれないように鍵さえ掛ければもう大丈夫。

私はその場でへたり込みます。
心臓のドキドキは全然収まってくれず「はぁ~~~」と吐き出した息は震えていました。

「今何時かな……」

どれくらい玄関でうずくまっていたでしょうか。
やたらとだるい体に言うことを聞かせリビングに入ると、電気を付けないといけないくらい暗くなってることに気付いて、灯りをつけたその刹那――。

ピンポーン。

「ひっ!?」

思わず悲鳴を上げてしまいましたが、確認しないわけにはいきません。
もしかしたらお母さんかも知れないと、私は勇気を振り絞りモニターを見ます。

「なーんだ、やっぱりお母さんじゃん!」

お母さんが帰ってきてくれれば、これ以上、怖い思いをしなくて済みます。
私は急いで玄関のカギを開けに行きました。

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コメント(1)
  • 退治しなくてわ。

    2023/04/02/21:36

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