かわいそうな女の子

そうだ。こいつの親に突き返そう。そもそもあの母親のせいで俺はこんな目に遭ってるんだから。

大股で歩く俺の歩く速度について来れない彼女を、俺は引き摺るようにして夜中の町を歩いていく。

そしてあのスーパーに着く。

「家はどっちだ」

俺の質問に彼女は応えない。

「今から連れてってやる。どっちだ」

無言。

「どっちだって言ってんだろ！」

俺は頬を引っ叩く。

「言えよ！　どこだよ！　おまえんちは！」

二発、三発と叩く。

「ちょっと！　何やってるんですか！」

二十歳位の女が俺を突き飛ばす様にしてふたりの間に割り込んでくる。

「こんな小さい子供に……警察呼びますよ」

苛立っている俺はその女を睨みつける。

「何も知らないくせに……じゃあお前がこいつを育てろよ！」

「はぁ？　何言ってんですか？　自分の子供でしょう？」

「ちげーよ！　知らねーよ！　どうでもいいわこんな奴！」

「最低……ほら、お姉さんと一緒に行こ？」

笑顔で話しかける女の手を取り、少女は歩き出す。

そして俺を振り返ったその顔は、あの薄気味悪いニヤケ顔だった。