トイレのなな子さん

私がこの話を初めて聞いたのは学校の友人からでした。

ある日学校のトイレに一人で入ったら、隣のトイレでばたばた走るようなうるさい音がしたのだそうです。

友達が、誰がやっているのか気になってしばらく待っていたらキーっとドアが開き、その中には誰もいなかったという、よくある学校の怪談的な怖い話です。

なぜなな子さんなのかは私にも分かりませんが、友達はその話をトイレのなな子さんだと言って怖がっていました。

話を聞いたときは周りの友達と一緒になって怖がりましたが、しばらくしたら忘れていました。

よくある学校の怖い話という印象で、そこまで気にしていなかったと思います。

しかし、話を聞いてしばらくしたある日に、私は自分の家で奇妙な体験をしました。

トイレに入ろうとしたときに、電気がついていてスリッパがトイレの前にあったのです。

私は家族の誰かが入っていると思って、出てくるのを待ちました。

すると中からばたばたとうるさい音がするのです。

弟が何か悪さをしているんだと思い込んでいました。

しばらくしてもトイレから出てこないので、「ちょっと早くしてよ」と弟と思って声をかけたのです。

そしたら中からまたばたばたと足音が。

イラっとした私がトイレを開けたらトイレのカギがかかっていなかったのです。

そのままの勢いで開いて驚きました。

だってトイレには誰もいなかったからです。

後にも先にもトイレで怖い体験をしたのはこの日のみです。

それからは何もなかったけど、もしかしたら、友達が言っていたトイレのなな子さんは本当に存在するかもしれないとぞっとした体験でした。