体育倉庫の男の子

私は体育の授業後に、先生に頼まれてほかの生徒たちとマットを畳んで片付ける手伝いをしていました。

そしてそのときにふと見つけてしまったのです。

それは人間の足でした。

体育倉庫の奥に体育座りしている子供の足らしきものが見えたのです。

誰かがいると思って、私は「早く出ないと閉められるよ」と注意しました。

でもぜんぜんその子が反応しなくて、先生に言いつけました。

「あそこに誰かいる！」というと、先生はびっくりしてそっちに駆け寄っていきました。

だけど戻ってきて、「悪い冗談はよしなさい」となぜか私が説教されたです。

先生は私が嘘を言ったと思ったみたいでした。

納得いなかくて私が見に行ったら、誰もいませんでした。

その日は見間違いと思って、自分の目を疑わしく思いました。

しかし、別の日に別の用で体育倉庫を訪れたときに、あの足が見えたのです。

慌ててそっちに向かうと、体操着を着た男の子がいました。

「やっぱりいた」と私はその子の手を引っ張って、「早く出るのよ」と言いました。

だけど、触ったときにその手があまりに冷たくて驚いて、手を振り払ってしまいました。

一緒に体育倉庫に来たクラスメイトがいて、後ろからその子に「誰かいるの」と聞かれました。

頷くと「どこにいるの？」と聞いてきます。

ここっと私は目の前を指さしました。

けれどクラスメイトは不思議そうに「どこ？」と聞きます。

その子供は少しの間に忽然と消えていたのです。

今でもあの男の子が何者だったか分からないです。

あまりに冷たい体、そして二度も忽然と消えてしまったことを考えるとあれは体育倉庫のお化けだったのではないかと思っています。

私だけに見えてしまったあの男の子は今もあの体育倉庫にひっそりといるのかもしれません。