夕暮れ時の不思議

私がまだ小学生の頃の出来事です。

夏休み、両親と共に祖母の家へ向かった私は、昼間はよく外で遊んでいました。

夏休みの半ばごろ、その日は珍しく家の中で過ごしていた筈なのですが、気付けば祖母の家の近くにある神社に何故か来ていました。
今でも覚えているのですが、山頂にあった神社なのもあり、夕暮れがとても綺麗でした。
何故ここにいるのか、訳もわからず神社の祠の中を覗くと、そこには立派な仏様が置かれており、無表情の筈の顔が笑っていたのです。

あまりに怖かったので、急いで山を降りようとすると、いつまでも帰ってこない私を心配して、祖母が迎えに来てくれました。
祖母の話によると、昼寝をしていた筈の私は、気づけば外へ遊びに行っていたそうです。
大人となり、またあの神社へ向かうことがありましたが、仏様は無表情なままでした。
何故急に外へと向かい、わざわざ山を登って神社へと向かったのか、その時の記憶が私に無いのは何故なのか。未だに分かっていません。

ただ、のちに神社について調べたのですが、特に悪い噂もなく、良くある土地神様が祀られているだけで、仏様が笑っていた原因は分かりませんでした。
ですが、今でもはっきりとあの笑顔を覚えており、忘れられません。