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ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

占い師の老婆
短編 2023/01/17 17:01 1,117view
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私は路地で出会った知らない老婆に、占いをしてもらったことがあります。

そのとき、飲み仲間がいて、居酒屋をはしごしていました。

その途中の路地で、怪しい占い師を見かけたのです。

酔っぱらっていた友達が「占ってもらおうよ」と言い出して、占いなんて信じてもない私が人生で初めて占いをしてもらいました。

その老婆は羽織ったフードで顔を隠してあり、顔は見えませんでした。

手がしわくちゃで話し方などもしわがれた老人のものでした。

最初は手相を見てもらって、かなりぐさぐさと来ることを言われました。

けれどそれが的外れなんかじゃなく、案外全部的を射たように当たっているのが驚きでした。

ただ友達の手相を見たときに、私とは違った反応を見せたのです。

戸惑った感じで何度か見直して、「まずいね、ちょっとどうしたもんかね」と占い師が言いました。

「あなたこのままだと死ぬよ」ていうのです。

「そうなんだぁ」となぜかけらけら笑う酔っ払いの友達に呆れたように、私を見て言いました。

「悪いことは言わないからすぐに病院に連れていきな」と言われたのです。

けれど酔っぱらいの友達は、次に店に行こうとしているのです。

もう一度老婆を見たら、「貸しな」とスマホを取り上げられて、救急車に電話し始めました。

驚いてスマホを取り返したけど、もうすでに通報された後でした。

老婆はそのまま私たちからお金も取らずにぶつぶつと文句を言いながら、仕事道具を片付け始めたのです。

「なんてことするんですか!」と救急車を呼ばれてしまってどぎまぎしていると、どさっとすぐ隣の友達が倒れたのです。

私はびっくりして友達に呼びかけたけど、意識がなかったです。

パニックになっていると救急車の音が聞こえてきました。

私はそういえば救急車に通報されたことを思い出しました。

その後友達は急性アルコール中毒と診断され、もう少し処置が遅かったら危なかったと言われたそうです。

救急車が到着したときには通報者である占い師の老婆は影も形もなく、いなくなっていました。

私は占いを信じていませんが、あの占い師の老婆だけは信じています。

あの力は本物だったんじゃないかと思うのです。

そして命を助けてもらったのに、あの日占いの代金を支払えなかったことがとても心残りです。

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