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takeさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

踊り場の合わせ鏡
短編 2023/01/15 20:48 895view

母方の叔父から聞いた話です。

叔父が通っていた中学校の校舎は4階建で、階段の踊り場の壁に、地元の企業から寄贈された社名が入っている、全身が映るくらいの大きな鏡がかかっていました。
鏡の寄贈数の都合なのか、3階から4階への踊り場のみ、向き合うような形で2枚の鏡がかかっていたそうです。

いわゆる合わせ鏡になっているのですが、その前を通りかかると、前後の鏡に姿が映り、それが無限に続いていくように見えて、吸い込まれそうで気持ち悪かったといいます。

そしてその階段では、生徒が足を踏み外して、転落して怪我をする事故が、不思議なほど続いたそうです。
事故に遭った生徒は、
「急に眩暈がした」
「なにかに躓いた」

「鏡の中になにか動くものが映って気を取られた」
と、口々に言いました。

ある日、叔父がその鏡の前に立ってみると、無限に連なる自分の姿の中に『自分ではないモノ』が、混じり込んでいると感じました。これは良くないモノだ、と思ったそうです。

叔父は野球部だったので、バットを肩に背負いながら、移動中の不注意を装って3階に降りる側にある鏡を叩き割りました。

その後、他の踊り場と同じように鏡が一枚だけになり、あれだけ続発していた事故がピタリと止んだそうです。

叔父には霊感があり、思春期の頃はとくに鋭かったそうです。
「無限に姿が映ると、そっちに意識がいって足を踏み外す原因になってたとは思うけどな……でも、合わせ鏡ってのは昔っから不吉だと言われてるんだよ」
そう言って、ちょっと笑いました。

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