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心霊

takeさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

幽霊も驚く
短編 2022/12/24 14:50 959view
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私が高校生の時の話です。
弓道部に所属していて、その日は看的当番でした。
看的というのは、的の中り外れを、的場の端にある看的小屋から確認して知らせる役目で、放たれた矢を抜いて片付けたり、的を取り替えたりもします。
射場から的場までは二十八メートルあるので、看的当番は結構孤独です。それが嫌だという人もいれば落ち着けるから好き、という人もいます。

私は気分で変わるのですが、その日は看的気分だったので、浮き浮きしつつ、看的小屋に向かいました。
口笛を吹きながら、ドアを開けて小屋に入ると、「キャッ!」と女の子の悲鳴が聞こえました。
「え?」
見ると、うちの制服を着た女生徒が、驚いたのか尻餅をついてこちらを見上げています。

おかっぱ頭で色白のちょっと可愛い子でしたが、見覚えはありません。
弓道部員でもないのに、なんでこんなとこにいるんだ? と思いつつ、
「ああ、ごめんごめん、大丈夫?」
そう言いながら助け起こそうと手を伸ばすと、女の子は、
「ああー、ビックリしたぁ」
と言うと、映像がコマ落ちするようにパッと消えたのです。

私は『不思議な存在を見たり感じたりする』体質で、人ならざるものとしょっちゅう遭遇していましたが、『向こうの存在』に、驚かれたのは初めてでした。
しかも女の子にビビられたのがちょっとショックだったり。

弓道部に私などは比べ物にならないほど強力な霊感体質の先輩がいて、後でそのことを話すと、
「私も看的番の時、たまに見るよ、結構可愛い子でしょ、害はないから安心して」
と、あっさり言い放ちます。
「あの、それだったら事前に教えておいて欲しかったです」
「ごめんごめん、私の前以外に出てくるとは思わなくてさ、でも……」
先輩はそこで言葉を切り、意地悪そうな笑みを浮かべました。
「なんですか?」
「向こうの人に怖がられるなんて無敵じゃん、もう怖いものなしだね」
と、大笑いされて複雑な気分になったのでした。

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関連タグ: #心霊#霊感
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