私を呼ぶ声

私は小さい頃から、人生の転機が訪れようとするタイミングで必ず私の名前を呼ぶ声が聞こえます。

3人姉弟の真ん中に生まれ、小さい頃から霊感体質らしく、見たものをすぐ口に出してしまうので母親にはよく叱られていました。
体は弱く、よく入退院を繰り返していた幼少期。ある日の夕方、自宅の２階でひとりで遊んで居たときのことです。
よく下の階段から母親が「ごはんだよ～」とか「お風呂入りなさ～い」とか、呼ぶことがあったので、その時も母親が呼んでいるのかと思いました。私の名前を呼ぶ声が聞こえたのですが何故か子供のような声で、母親はふざけているのかなと思いながらも返事をしました。
「は～い！」
「……」
「は～い！なに！？」
「……」

母親からの返事はなく、下の階へ行って確かめました。
「お母さん？なに？」

「え？なした？」
「今わたしのこと呼ばなかった？」
「呼んでないわよ？」
「え…今、名前呼ぶ声聞こえたんだけどな」
「また？」
「え？…またって？」
「この前、お姉ちゃんも同じ事言ってたのよ」
「なんて？」
「子供みたいなの声出して、なに？って」
「…うん…お母さんふざけてるのかと思った」

「同じ子に名前呼ばれたのかもね…ウフフッ」
「何がおかしいの？」
「たぶんあなた達を守ってくれているお兄ちゃんかな？…」
「…！え？…お兄ちゃん？？」
「お姉ちゃんとあなたが生まれる前ね、お母さんお腹の中で死んじゃった子がいるの」
「…はじめて聞いた…」
「きっと、あなた達のことを守ってくれてるのよ」
「…うん…確かに全然怖い感じしなかったもん」
「でしょ？きっと一緒に遊びたくて名前呼んじゃったのよ」
「…そっか…」