踏んだのは誰？

あれは私が中学生の頃。親の仕事の都合で引っ越しをする事になり、学校からほど近いアパートへ入居する事になった。

大型商業施設も近くにあり交通のアクセスにも事欠かない住みよい地域ではあったが、少しだけ気になる事が私たち家族にはあった。

入居した当日から台所の冷蔵庫裏からバチン、と大きな音が昼夜関係なしに鳴るようになったのだ。

購入からだいぶ年数が経っている事もあって劣化してきているんだろうと思っていたが、不可解な現象はそれ以外にも起こった。

部屋の仕切りになっている襖はあまり建付けが良くなかったのだが風も何もない時に突然ガタガタ揺れたり、

強化ガラスでそんな簡単な事で傷が入らないであろうベランダの窓ガラス全てに上から下まで大きな亀裂が入ったり。

さすがに気味が悪いと家族全員が思い始めた頃、不思議な体験をした。

部活が休みで学校から早く帰って留守番していた時の事。

疲れていたので昼寝をしようと横になり寝入った少し後、誰かに思い切りお腹を踏みつけられた。

いたずら好きの弟かと思いやめろ、と言いながら体を起こすと、部屋どころか家に自分以外誰もいない。

寝ぼけていて勘違いしたのかと思いもう一度横になってすぐにまたお腹を踏まれたのだ。

もう一度弟に文句を言いながら体を起こしたが、やっぱり部屋には誰もいない。

気味が悪くなり昼寝を諦めて家に一人いるのも嫌になって外に出て、それ以降家にあまり一人でいない様にしていた。

その出来事も一因となってすぐ引っ越したのだが、未だにあの一連の出来事は何だったのか不思議で仕方がない。