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セイスケくんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

感受阻害症候群
短編 2024/06/10 16:59 768view

脳科学的には、アウトプットを通じて記憶が定着するという話を聞いたことがある。まさにそのことを実感する出来事があった。

友人を通じて知り合った華江さんという、スピリチュアルな世界に没頭している女性がいる。彼女の話はとにかく現実離れしていて、いつも驚かされることばかりだ。たとえば、「地球は平面である」と彼女は信じているのだ。

僕は学校で地球は球体だと習ってきたので、この発想には驚いた。まるで脳みそをかき混ぜられるような刺激があり、彼女の話を聞いていると飽きることがない。しかし、一方的に聞いているだけならいいが、こちらの話に対する彼女の反応がどうもおかしい。

僕が何か言っても、数分前のことすら全く覚えていないようなリアクションをされることが多かった。最初は彼女に少し不快感を覚えたが、最近になってその理由がわかってきた。華江さんは話すことに夢中で、僕の言うことを全く聞いていないのだろうと。

そう思うと少し気が楽になった。だが、事態はもっと深刻だったのだ。

ある日、彼女の友人から聞いた話で、華江さんが『感受阻害症候群』という難病にかかっていることがわかった。この病気は五感から入力された情報が記憶に定着しないというもので、まさに彼女の奇妙な反応の原因だったのだ。

華江さんの話す内容はいつもぶっ飛んでいて、「地球は平面だ」といったような非常識な理論も、彼女にとっては真実なのだろう。しかし、彼女の脳はその真実をしっかりと記憶することができない。スピリチュアルな世界に夢中になっているように見える彼女の内面には、そうした科学的な障害が隠れていたのだ。

僕は彼女の話を聞くたびに新鮮な驚きを感じ、そして同時に彼女の記憶障害の影響を受けていると理解した。感受阻害症候群という病気を知ったことで、華江さんに対する見方も変わった。彼女の奇妙な理論やスピリチュアルな話が、単なる興味深いおしゃべりではなく、彼女の記憶の断片が紡ぎ出すものだということがわかったのだ。

華江さんはこれからも自分の世界を語り続けるだろう。そして、僕もまた彼女の話に耳を傾け、時折脳みそをかき混ぜられるような刺激を受け続けることだろう。彼女の中には、まだまだ未知の話がたくさん眠っているに違いない。華江さんのスピリチュアルな世界とその裏にある科学的な事実、その両方を理解することで、僕自身もまた新しい視点を得ることができたのだった。

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関連タグ: #夢#学校#記憶
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