ある夜~墓地の道~○○に~でああった~
投稿者:もりのくまお (7)
短編
2022/09/10
03:17
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「ほんとのあいをさがすため~」にさしかかったとき、私は正面衝突を起こした。
暗くて見えないため、向こうから来た人にまさに鉢合わせしてしまったのだ。
「すっすいません」と思わず叫んでしまったのだが、その直後私は完全にフリーズして
しまった。
目の前に立っていたのは真っ赤な人だった。全身が真っ赤に燃えているような人間。
ものすごく大きな目をしていた。顔のサイズとまったく合っていない巨大な目。
身長は私と同じくらい。枯れ木のようにカリカリにやせている。
そして明らかに全裸であった。細く枝のような手で口を覆っている。なんて長い指
なんだ。髪の毛も真っ赤だ。そして逆立っている。そしてその髪は、逆立ったまま
揺れている。
にらめっこしていたのは10秒くらいだったろう。その世にも気持ちの悪い存在は、
ひらひらと揺れながら、ゆっくりと消えていった。かすかに、あの途中にある
民家から流れてくる気がしていたかび臭い、湿気た臭いがする。私はその後全速力で
走り、あの朽ち果てた車の近くで転び、膝あたりを血だらけにして駅に到着した。
見開いた巨大な目。逆立った髪。口を覆った細長い指。
そう、あいつも突然私が目の前に現れてきっと、
ものすごくびっくりしたんじゃないかな。
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