荷物用エレベーター

色んな笑い声がフロアに響くと俺の頭は酷い頭痛に襲われた。

早く降りろ！
早く！早く！

こんなに必死に念じても機械に願いは届かないが、人影の集団が照明の領域内に踏みいった時、タイミングよくシャッターが全て降りて救われた気分に陥った。

しかし、安堵から大きくため息をついていれば、、

タァン！ダァン！

とシャッターが外側から叩かれる音が凄い勢いで響き渡った。

当然、人が全力で殴っても荷物用エレベーターが落ちるなんて事はあり得ないが、もしかしてエレベーターが止まってあの人影がシャッターを開き俺を引きずり出そうとしているのではと、変な妄想をしたせいで恐怖でいっぱいだった。

そんな心配も杞憂に終わり、俺は本来の1階に到着すると1階で待っていたバイトらしき人がシャッターが開くと同時に床に座り込んで顔面蒼白となった俺を見て絶句していた。

俺はその日の仕事は心ここにあらずだったが、退勤後に早速その話をバイトを紹介してくれた友達に話すと「なにそれ面白ｗ」と適当にあしらわれた。

因みに、同じ部署のバイトや社員にもそれとなく「ここって何か曰くあります？」と聞いてみたがきっぱり「無い」と言われた。

その日以降は社員に荷物を頼まれる事がなかったから地下1階に行く事は無かったが、何となくバイト中は悪寒が酷かったから短期の満期より早くバイトを辞めた。

あれが何だったのか分からないが、今でもエレベーターに乗ったときは地下に行くのが怖い。