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妖怪・風習・伝奇

信綱さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

カワワラシ
長編 2022/08/13 14:35 30,451view
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当然ながら真正面にいる俺からは、女の子が人に見せちゃいけないモノが色々と丸見えだった。

くぱっと開き気味になった一本線の中から、薄ピンクの芽のような突起がぴょこんと顔を出していた。

女子のその部分をしっかりと見たのは、多分それが初めてだったと思う。
俺はチラチラと視界に入る神秘の器官にドキリとしつつ、出来るだけそっちを意識しないよう、目線を上の方へと移した。

女の子は自分の際どい格好を気にすることなく、逃げようとせわしなく動くサワガニを、手のひらでくるくると弄んでいた。

ニタニタ、ニタニタと笑顔を浮かべて。

俺はその様子を見て、昔テレビの特集で見た野生児の少女のことがふと思い浮かんだ。

人間らしい振る舞いができなくて、振る舞いは獣そのもの。
でも時折、無意味に自分より弱い小動物をいじめては、悦に浸ったようにケタケタと笑うのだ。

人間としての道徳心や倫理観といったものを一切教わらずに、ちっぽけな被虐心がむき出しになるから、そのような惨いことをするのだそうだ。

そんな野生少女の姿が、目の前にいる女の子と不思議とリンクした。

・・・野生児じゃないよな?こいつ。

そんな取り留めもないことを考えていた、次の瞬間だった。

女の子はサワガニを弄くり回す手を止め、がしっと掴むと、おもむろに自分の顔に近づけた。
そのまま品定めするような目でサワガニを見つめると、なんと口にそれを放り込んだ。

ひとかみ。ふたかみ。ごくっ。

女の子はさも美味しいものを食べているかのように、サワガニをそのままゴリゴリと噛み、ごくりと飲み込んでしまった。

サワガニを食べ終えた女の子は、ふと満足そうに声を上げた。

「みゃあ、みゃあ、みゃあん」

発情期の猫の鳴き声みたいな、なんともいえない気味の悪い耳障りな声。

その間も女の子は、ずっとニタァと笑顔のままだ。

そんな光景を目の当たりにして、俺は背筋がゾクッと冷える感覚がした。

あ、こいつやばいかも。

目の前の女の子が尋常じゃない、普通じゃない存在であると本能的に分かった。

「みゃあ、みゃあ」

女の子は気持ち悪い声を上げ続けている。

どうしよう。どうしよう。

動転して何も考えれないでいると、突然女の子が俺の足首を掴んできた。

顔を上げて、気持ち悪い笑顔でこっちを見ている。

するとその瞬間、辺りからも沢山の鳴き声が聞こえてきた。

4/7
コメント(4)
  • めちゃ面白かったです
    奥多摩あたりは神秘的で本当に何かありそうな場所ですよね

    2022/08/14/09:15
  • ワラシちゃん可愛い

    2022/08/19/21:39
  • 蹴り入れられたのに気に入られるのか…Mっ気があるのかな

    2022/10/19/16:09
  • おじいちゃんが山で作業中に急死ということは・・・。

    2023/07/24/00:27

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