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妖怪・風習・伝奇

信綱さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

カワワラシ
長編 2022/08/13 14:35 7,911view
もう今から40年以上前、時代が昭和だった頃の遠い夏のこと。

俺のじいちゃんは東京の出身で、子どもの頃は夏休みなんかになると、じいちゃんの東京の実家によく遊びに行っていた。

東京と聞くと、高いビルが立ち並び、多くの人々が行き交う大都会を想像されるかもしれない。

けどじいちゃんの地元は奥多摩にある小さな集落で、原生の山や林に囲まれた、人の少ない物寂しい田舎だった。

子供時代にそこを訪れると、よく俺はそこで近所の子供たちに混ざって川遊びをしたり、近くの山で虫取りや探検をして過ごしていたのを覚えている。

そんな奥多摩での思い出で、今でも忘れられないというか、色濃く記憶に残っていることがある。

それは小学校6年生の夏休みでのことだった。

当時の俺は先輩の影響で釣りに凝っていて、奥多摩に行ったときも、近所の子供連中との遊びもそこそこに、一人で釣りに出ることが何回かあった。

ちょうど思春期に差し掛かった時期だったし、虫取りとか探検みたいな子どもっぽい遊びが、なんとなくつまらなく感じるようになっていたんだと思う。

その日は渓流釣りをしようと、日が昇りきらない早朝から、釣り道具を持って山奥の沢まで歩いて行っていた。

不思議と魚がいっぱい釣れこともあって、俺はかなり没頭していた。

昼の11時を回った頃だろうか。来た時は辺りは薄暗く肌寒い感じだったが、もうとっくに日が出て、暑さでぽたぽたと汗が垂れるくらいになった。

さすがに集中が途切れた俺は、一度家に戻って休憩しようと考えた。
朝飯もロクに食べずにやって来たので、もうお腹もペコペコだった。

おにぎりか何か持ってくれば良かったなあ。なんて考えながら荷物をまとめて一人で歩いていると、ふと前方に流れる川に、なにか小さな人影が動いているのが見えた。

気になったので、少し足早に近づいていってみた。

すると、そこには裸の子供がいた。

背格好から判断するに、学年は俺よりも少し下、多分4年生か5年生くらい。

丸出しのお尻をこっちに向けながら、川辺に入ってぴちゃぴちゃと水遊びしているようだった。

田舎だと子供が裸で川遊びするのは別に変なことじゃなかったので(少なくとも当時は)、そこは気にすることはなかった。

ただ場所が山の中でも結構な奥地だったので、小さい子がわざわざそこで川遊びするのは珍しいと思い、ほんの軽い気持ちで声を掛けた。

「おーい、おーい!」

俺の声に気づいたその子は、クルっとこっちを振り返った。

「・・・・・・」

最初はキョトンとしてる感じだったが、俺の姿を見つけると、タッタッタと元気いっぱいに駆け寄ってきた。

近づいて来て分かったが、その子は女の子のようだった。

少し水に濡れたおかっぱ頭に、リンゴみたいに赤いほっぺた。

まだ体つきは全体的に幼く、ほとんど男の子と変わらない感じに見えた。

けど胸はほんのわずかにぷくんと膨らんでいて、チラッと下の方に目をやれば、はっきりと女の子であると分かった。

よく見ると顔も可愛いらしかった。
クリクリとした大きな目で、小さい子特有の愛らしい感じだ。
1/6
コメント(2)
  • めちゃ面白かったです
    奥多摩あたりは神秘的で本当に何かありそうな場所ですよね

    2022/08/14/09:15
  • ワラシちゃん可愛い

    2022/08/19/21:39

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