奇々怪々 お知らせ

妖怪・風習・伝奇

信綱さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

カワワラシ
長編 2022/08/13 14:35 29,933view
4

もしかしたら落し物の持ち主かもと思い、草木をかき分けて近づいていってみた。

すると、そこには裸の子供がいた。

遠目の背格好から判断するに、学年は俺よりも少しだけ下。多分4年生か5年生くらい。

丸出しの小さなお尻をこっちに向けながら、川辺に入ってぴちゃぴちゃと水遊びしているようだった。

田舎だと小学生程度の子供が全裸で川遊びするのは別に変なことじゃなかったので(少なくとも当時は)、そこは特に気にすることはなかった。

ただ、場所が山の結構な奥地だったし、子供がひとりぼっちで川遊びするのも珍しいと思い、ほんの軽い気持ちで声を掛けた。

「おーい、おーい!」

俺の声に気づいたその子は、クルっとこっちを振り返った。

「・・・・・・」

最初はキョトンとしてる感じだったが、俺の姿を見つけると、タッタッタと元気いっぱいに駆け寄ってきた。

近づいて来て分かったが、その子はどうやら女の子のようだった。

少し水に濡れたおかっぱ頭に、リンゴみたいに赤らんだほっぺた。

体つきはまだまだ全体的に幼いものの、胸は男の子のそれとは違っていて、ほんの少しだけぷくんと膨らんでいた。
それチラッと下の方に目をやれば、女の子であるとはっきり分かった。

よく見ると顔立ちも可愛いらしかった。
クリクリとした大きな目で、小さい子特有の愛らしい感じだ。

「おまえ何年生?家どこ?」

近所の子供たちの顔と名前は、なんとなく全員覚えてはいた。
が、目の前にいるおかっぱ髪の女の子は一回も見たことがなかったのだ。

もしかしたら山の向こうの村の子かもと思ったので、そう尋ねてみた。

けど女の子は

「・・・・・・」

何も答えない。
ただニコニコと笑顔を浮かべて、コクリと頷きすらもしなかった。

かといって、特に警戒されているような感じでもなかった。

「おれ、6年生の〇〇。おまえは?」

もしかしたら聞き取れなかったのかもと思い、今度は自分の名前を少しゆっくりに喋って、もう一回ちゃんと聞いてみた。

「・・ろく、ねん・・・せい」

すると、女の子はかなりたどたどしく、まるで幼児みたいに舌っ足らずな感じでそう言った。

6年生か。6年にしては背ちっちぇーし、なんかガキっぽいな。
眼前の女の子が、体つきにしろ雰囲気にしろ同学年である気がしなかった。

2/7
コメント(4)
  • めちゃ面白かったです
    奥多摩あたりは神秘的で本当に何かありそうな場所ですよね

    2022/08/14/09:15
  • ワラシちゃん可愛い

    2022/08/19/21:39
  • 蹴り入れられたのに気に入られるのか…Mっ気があるのかな

    2022/10/19/16:09
  • おじいちゃんが山で作業中に急死ということは・・・。

    2023/07/24/00:27

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。