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心霊

林檎酢さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

新築なのに現象が起こる家
長編 2022/08/17 14:34 3,997view

久しぶりに会う妹とプレゼントの候補を考えていると、話題は自然と実家の現象のことに。

あの時怖かったよね、こうだったよねなど、当時の恐怖よりも懐かしさが強くなっていた私たちはひとしきり昔の話で盛り上がっていました。

すると妹が「実は・・・」と神妙そうな面持ちで語りだし、
「お母さんには言わないでね。」と強く念押ししながら妹は続けます。

妹の部屋は当時よく勝手に電気がついたり消えたりしていました。
当時は配線の接触が悪いのか、私と比べるとだらしない性格だった妹が電気を消し忘れでもしたのだろうと、家族の誰も、妹本人もあまり気にしてはいなかったのですが
今思うと、あれも現象の一つだったのではないかといった内容でした。

妹は話し続けます。

妹の部屋は入り口から入って対面にベッドを配置しており、
部屋の奥を枕にして寝ていました。

寝ている妹からは自分の足元の左奥に部屋の入り口が見える状態です。
当時、部屋のドアを全開にして寝ていた妹は、ある夜不思議な夢を見たそうです。

その夢というのは部屋の入口の天井にとても背の高い真っ黒な髪の長い女の人が立っていたというのです。その女の人は天井に曲げた腰がつくくらい非現実的な大きさで、うなだれた顔は髪の毛で見えなかったそうです。女の人は部屋の入り口で止まっており、
寝ている妹に向かって長い左手をぬうっと伸ばしてきて、触ろうとしてきたそうです。

夢はそこで覚めたそうですが、本当に夢だったのかどうかは定かではありません。

妹は私や母と同じく、怖がらせまいと今まで話さず黙っていたそうです。

今も妹は夢か現実か半信半疑ですが、怖い思いをしたことに変わりありません。

そんな怖い思いをしたのに今まで黙っていた妹に敬意のようなものを感じました。
同時に私は部屋を決めるときにあっさり心変わりをし、妹に部屋をゆずって良かったと
心底実感した瞬間でした。

今でも妹の部屋は日の光が入りづらく暗い印象ですが、電気が勝手についたり消えたりすることもなく、立派な物置部屋として使われています。

母は経験上、現象や心霊体験のようなものに関しては何かしらの原因や意味があると考えていて、私たちが一緒に体験した所謂ポルターガイストのような現象は
言ってしまえばもともとその場所で祀られていた狐が土地を奪われ祀られなくなってしまったので、以前と同じように祀ってほしくて自分の存在に気づいてくれそうな私たち姉妹や母の前で現象を起こしていたのだと思います。
(この理屈であれば幽霊の存在を信じない怖がりの父の前ではあまり現象が起きなかったのも頷けます。)

ですが、妹の前にだけ現れた大きな女の人は?
狐が起こしていたと思われる現象とはまた種類が違うような気もしますし、もともと畑だった土地に未練を残して亡くなっている存在がいたとしてもおかしくはありませんが
狐と比べると辻褄が合いません。

私は一つ気になることがあります。
なぜ妹の前に現れた女の人はわざわざ「左手」で妹に触れようとしたのでしょうか?

部屋に向かって立っていて、右側の対面にベッドがあり妹が寝ている状態で
わざわざ遠い方の左手で・・・

3/4
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